マスコミ(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の広告費は4年連続減少中ですが、インターネット広告費の構成比は年々高まっており、日本の広告費全体の27%弱(約1.76兆円)を占めるまでに成長しています。また、マスメディアのデジタル化も進んでおり、特に雑誌メディアのデジタルメディアへの移行(337億円)の速度が目立ちます。
インターネット広告費が4マス(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)媒体広告費を追い越すのはいつか?
日本最大の総合広告代理店の電通(本社:東京都港区)の発表によれば、2018年(1~12月)の日本の総広告費は、6兆5,300億円(前年比102.2%)。7年連続でプラス成長だそうです。
ちなみに2018年度の日本の総広告費は、名目国内総生産(GDP)の1.19%とのことです。ざっくりGDPの1.2%の市場と覚えておくといいですね。
ちなみに、インターネット広告費は、1兆7589億円(前年比116.5%)。なんと5年連続の二桁成長!微妙に下落傾向が続く地上波テレビの広告費が1兆7848億円なので、そろそろ日本国内でもテレビをネットが抜くという予測が現実的になってきました。2019年度には「ああついに」ということになるかもしれませんね。
4マス由来のデジタル広告費の項目が新設
特筆すべきは、今回、4マス由来のデジタル広告費の項目が新設されたことです。
4マス=マスコミ四媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)由来のデジタル広告費の定義は以下の欄をご覧ください。
マスコミ四媒体由来のデジタル広告費とは、マスコミ四媒体事業社などが主体となって提供するインターネットメディア・サービスにおける広告費のこと。新聞デジタル、雑誌デジタル、ラジオデジタル、テレビメディアデジタルのことで、これらのデジタル広告費はマスコミ四媒体広告費には含まれない。なお、テレビメディアデジタルの内訳である「テレビメディア関連動画広告」は、キャッチアップサービスなどインターネット動画配信における広告費のことを指す。
簡単に言えば、4マスが作ったデジタルメディアが獲得したデジタル広告(内訳はありませんが、アフィリエイトだったり検索結果連動型あるいはバナーなどのディスプレイ広告、もしくはタイアップ記事形式≒ネイティブアドなど)による広告収入のことですね。
この金額が、582億円になった、というところで電通も発表項目に追加した、無視できない大きさになってきた、ということです。
また、582億円のバランスをみると、雑誌系デジタルメディアが58%=337億円。ついで新聞系デジタルメディアが23%=132億円となっています。対してテレビとラジオを足して19%=113億円。
もともと文字や画像をベースとしたコンテンツを作っている雑誌と新聞のほうが、動画や音声をベースとしたコンテンツを作っているテレビやラジオより、Web系メディアを作ることに親和性がある、ということは間違いありません。
また、そもそもの媒体力という意味で、一番苦しいのが雑誌(前年度比91%=9%ダウン)、そして新聞(同92.9%=7.1%ダウン)。テレビは衰えたりと言えどもまだまだ強く(同98.2%=1.8%ダウン)、ラジオは早い段階で度落ちるところまで落ちたので(同99.1%=0.9%ダウン)粘り腰を見せている。
苦しいところからWebメディアへのシフトを急いだ結果、上のグラフのような状況になっていると言えるかもしれません。