毎月第3木曜日の夜に、THE FACTORYで行う少人数(原則定員10名)のワークショップ「Workshop@THE FACTORY」。第15回目となる今回は、株式会社エンターモーション 代表取締役会長 島田 大介 氏をお迎えし、『世界のO2O(Online to Offline)最前線!進化する店舗企業のマーケティング戦略!』をテーマに開催しました。

島田 大介 氏

大学卒業後、日商岩井(現:双日)に入社。ネットエイジ社への出資・出向やネットマイル社の創業への関わりを経て、2003年エンターモーションを設立。2017年12月に同社代表取締役会長就任。

エンターモーションについて

島田氏が代表取締役会長を務める株式会社エンターモーションは、「店舗での消費者の購買体験をIT技術を活用し、ワクワクしたものに再構築する!」をミッションとし、O2Oやオムニチャネル戦略に連動したアプリプラットフォーム『InsightCore』の提供を行なっています。

『InsightCore』は、飲食店やドラッグストア、ホテルなど、あらゆる店舗企業の集客を実現するソリューションで、クライアントである店舗企業に収益化までコミットするところがポイントです。

画像: エンターモーションについて

さらに「現在は、特に米国で急速に広がる事前注文決済とインバウンドに注力しており、インバウンドは中国をおさえるべく、中国インバウンド事業に特化したプロモーション事業を展開する株式会社WeTripとの戦略的提携などを進めています」と語る島田氏。詳細をご紹介する前に、まずはオムニチャネルについてご説明します。

そもそもO2O・オムニチャネルとは?

「O2O(Online to Offline)」とは、ネット(=Online)から実店舗(=Offline)へユーザーを送客する販促手法です。O2Oが実店舗への集客などの「誘導」をメインにしているのに対して、オムニチャネルは顧客の「囲い込み」に重点を置いている点が異なります。

一方、「オムニチャネル」は、Omni(=全ての、あらゆる)+ Channel(=販促経路)をかけあわせた言葉で、顧客自身がどのチャネル(実店舗、ECなど)で購買したかを意識させずに、顧客満足度の高い購買体験を提供することを意味します。
具体的には、O2Oに加え、実店舗とECやメルマガ会員をまたいだ顧客管理、在庫管理、配送ルートの整備を行い、いつでもどこでも快適に買い物をすることができる環境を構築することにより、実現を目指します。

つまり、オムニチャネルはO2Oより上位の概念となり、オムニチャネル戦略の中のひとつの戦術ととしてO2Oがある、という位置付けになります。

「顧客の利便性と満足度を最大化させるというのが、オムニチャネルの本質」と強調する島田氏は、「スマホの普及により、ユーザーはさまざまなチャネルを瞬時に行き来するようになりました。オムニチャネルショッパーは消費者の割合でいうと7%と少数派ですが、購買売上に対するシェアは27%であるというデータもあります」と続けます。

『InsightCore』は低コストにてクライアントの業種や特色に合わせ、独自のデザインで、最新の商品やメニュー情報、クーポン、キャンペーンやセールのお知らせ、EC連携やユーザの行動や登録情報に連動したPush通知の配信などを提供できる高機能な店舗アプリを構築することができますが、導入により、店舗と顧客をシームレスに繋ぎ、ロイヤリティの向上=収益化を実現します。

画像: そもそもO2O・オムニチャネルとは?

オムニチャネル・O2Oの国内外事例

では、実際にオムニチャネルやO2Oをすすめている事例には、どのようなものがあるのでしょうか?注目すべきトレンドを含め、島田氏に解説していただきました。今回のレポートでは、特に熱量が高かった2点を取り上げたいと思います。

01: インバウンド

エンターモーションの注力領域でもあるインバウンドは、今後の日本政府の中期ビジョンとして、訪日外国人を2020年に4000万人、2030年には6000万人を目標にするとも公表されているほど著しい成長が期待できる市場です。

画像: 01: インバウンド

中でも中国からの訪日観光客は、昨年時点で年間700万人という規模に拡大しており、今後も増加が予想されています。エンターモーションでは、アプリが1.5億ダウンロードを超え、来日する中国人観光客の70%以上が日本で起動する中国の旅行SNS最大手企業であるmafengwo(マーフェンウォー)社の特約代理店であり、同社との日本法人をジョイントベンチャーとしての設立に向けて準備を進めているWeTrip社と提携を行い、この領域に参入。同社との日本法人をジョイントベンチャーとしての設立に向けて準備をすすめています。

島田氏は「日本の地方都市の周遊も増加傾向にあるものの、まだ東京・大阪をはじめとする大都市部への集中が目立ちます。外国人に対する地方都市のコンテンツ供給が不足していることが大きな要因であるため、今後は地方自治体や観光関連企業とのタイアップにより、その魅力を伝えていきます」と意気込みを見せました。

02: モバイル決済

アプリ経由で注文と決済を事前に済ませておくことで、レジ前の行列に並ぶことなく店頭で商品を受け取ることができるサービスです。2020年には、アメリカでの市場規模は380億ドルまで拡大すると言われており、これは業界全体の売上の10.7%にも及びます。

レジ待ちの時間短縮による効率化・顧客満足度の向上を見込めるだけでなく、購買データ分析によるマーケティング展開や、アプリで母国語での注文決済が実行出来る為、インバウンド対応にも役立つとされています。また、店頭での購入時と比べて、自分のペースで注文ができるため、トッピングやカスタマイズをする顧客が多く、客単価アップにもつながる可能性が高くなる傾向にあります。米タコベルでは購買単価が30%増加したという事例も出ています。

この仕組みは日本でも増えていくと思われ、事実、マクドナルドジャパンが2018年に一部店舗にて実証実験を開始しています。全店舗での導入も検討されており、これが実現したら、日本のモバイル決済の普及が一気に進むかもしれません。

「事前に決済を済ませる、というところだけでなく、ピーク時の店舗オペレーションや、商品の受け渡し方によりUXや顧客満足度が大きく変わるため非常に重要なポイント。そのあたりも注目すべきでしょう」と語る島田氏は、「『InsightCore』にも事前決済機能は実装されています。近日リリース予定なのでご期待ください!」と付け加えました。

オムニチャネル成功のために

オムニチャネルの実現には、顧客へメリットを明示することはもちろん、提供側である店舗スタッフの協力が不可欠です。

島田氏は「ユーザーはお得情報がないと来ません。よって、インセンティブプログラムは必須です。また、過去の行動や意味のあるタイミングでのプッシュを行うことも忘れてはいけません。店舗スタッフ側でいうと、モチベーションを高められる評価制度の導入も検討すべきでしょう。その上で大切になってくるのは、トップが(若しくは現場メンバーがトップに進言し)熱い情熱とリーダーシップを持って、全社を組織横断的に動かすこと!」と締めくくりました。

オムニチャネルで実現すべき最も重要なことは「顧客の利便性、満足度の最大化」です。目的を見失わずに、データという顧客の声に耳を傾けること、そして国内外の事例にも常にアンテナを張りながら、自社のサービスに最適化させていくことが必要であると理解することができました。

島田さん、そしてご参加いただきましたみなさま、どうもありがとうございました!

画像: 後半は恒例のフリートークセッション。米ウォルマートのオムニチャネル戦略について参加者のみなさんの興味が尽きない様子でした。また、自身の業界でオムニチャネルを活用するには?という視点をお考えでした。

後半は恒例のフリートークセッション。米ウォルマートのオムニチャネル戦略について参加者のみなさんの興味が尽きない様子でした。また、自身の業界でオムニチャネルを活用するには?という視点をお考えでした。

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