毎月第3木曜日の夜に、THE FACTORYで行う少人数(原則定員10名)のワークショップ「Workshop@THE FACTORY」。第16回目となる今回は、トレジャーデータ株式会社 岸田 昇 氏をお迎えし、『DMPからCDPへ進化するデータ活用ビジネス。データをビジネスに変える方法とは』をテーマに開催しました。

まずホストであるリボルバーより、代表の小川浩がデジタルマーケティングを支える「マーテク」について、そしてこれからのコンテンツマーケティングについて語りました。

マーテクとはなにか?

マーテク(MarTech)とは、デジタルマーケティングを支える、さまざまなテクノロジーの総称であるマーケティングテクノロジー(Marketing Technology)の略語です。マーテクには、ネット広告の効果最大化のためのテクノロジーであるアドテク(AdTech)も含まれます。

画像: マーテクとはなにか?

日本の広告市場はここ数年で大きく変化しています。テレビ・新聞・雑誌・ラジオといった4マス媒体の広告費の構成比が低下する一方、インターネット広告が大きく成長し、マーケティング手法のデジタルシフトが急速にすすんでいます。

マーテク市場=国内デジタルマーケティング関連サービスの市場規模は、2021年には4,605億円に達すると予想されています。対して、クラウド型会計ソフトやブロックチェーンなどで近年話題に上がることが多い、金融サービスをデジタル化するテクノロジーであるフィンテック(FinTech)の市場規模は2020年に808億円となるとされており、マーテク市場の大きさが見て取れます。

世界で急増中のマーテク企業

画像1: 世界で急増中のマーテク企業

上記のカオスマップは2018年4月時点のグローバル市場におけるマーテクサービスの一覧です。これによると5000を超えるサービスが存在しており、マーテク企業が世界中で急増していることが伺えます。マーテクは、以下6つのカテゴリに大別できます。

01: Advertising & Promotion
広告や広報に関連するITツール。DSPやSNS広告、動画広告など。
02: Content & Experience
コンテンツマーケティング領域。CMSやマーケティングオートメーションなど。
03: Social & Relationships
ソーシャル&エンゲージメント領域。CRM、インフルエンサーマーケティング、チャットボットなど。
04: Commerce & Sales
コマース・販促領域。ECサイト構築、SFAなど。
05: Data
データの収集・管理・分析・可視化領域。DMP、CDPなど。
06: Management
チーム管理やプロジェクト管理領域。進捗管理や線表ツールなど。

パブリッシングプラットフォーム「dino」を提供するリボルバーは2番目のContent & Experienceに、データベースを取り扱うトレジャーデータは5番目のDataに属すると言えます。

さて、増え続けるマーテクの中で、アクセス解析ならGoogle Analytics、クラウド環境ならAWS、EコマースにはEC CUBEのように、いかにして自社の目的に即した最適な組み合わせを活用していくか、ということが直近のマーケターの関心ごととなっています。このような効率的で効果的なマーテクのポートフォリオを「マーテクスタック(MarTech Stack)」と呼びます。

画像2: 世界で急増中のマーテク企業

マーケティング予算と目的に応じて、最適なマーテクスタックを選択することが、これからのデジタルマーケティングには不可欠となります。

リボルバーが提供する「dino」は、自社開発のクラウドCMSを中心に、メディアの構築・運用・広告・収益化と、コンテンツマーケティングの立ち上げから収益化までの組み合わせを一貫してご提案しています。

その中で重要となってくるのが、“データ”

マーケティングを行っていく上で、いままでとこれからとで異なる点は、企業と消費者の関係性であると言えます。
従来、企業の広告は、企業が伝えたい情報を発信する一方的なものでした。しかしながら、現代に適しているのは、企業が伝えたい、かつ、消費者が欲しいと思うという、双方の意図を満たすコンテンツであり、それにはどんなオーディエンスに見てほしいものなのか、ユーザー像をより明確に絞り込んでいく必要があります。

過去WorkshopのDMP回でご紹介した通り、ユーザーターゲティングに活用できるデータには大きく2種類あります。
ひとつは、企業が自社で収集した登録会員データや広告閲覧・購買履歴で、これはファーストパーティデータと呼ばれ、こちらを管理分析するツールが「プライベートDMP」です。
もうひとつは、cookieなどの情報を元にした、第三者がユーザーを類推するデータで、サードパーティデータと呼ばれます。こちらを管理するのは「パブリックDMP」で、前者のデータと統合して活用することで、ターゲットとなる消費者を立体的に可視化することができます。

さて、2つのDMPをご紹介しましたが、近頃はその名称に変化があるようです。直近では、プライベートDMPを「CDP」、パブリックDMPを「DMP」と呼ぶようになっているそうです。

CDPとは「Customer Data Platform」の略で、本日のゲスト講師トレジャーデータの岸田さんによると、企業のビジネス部門、主にマーケター管理(利用)する永続的なシステムであり、他のシステムと連携可能な(アクセス可能な)統一された顧客データベース、と定義されるそうです。

いままでと異なる点として、デジタルのみならず、マーケティング全体に利用可能で、個人情報を含むあらゆる顧客のデータを統合できることが挙げられます。つまり、プライベートDMPの進化版がCDPで、オンライン・オフライン関係なく、存在するデータを統合的に管理・活用するのです。

では、データをビジネスで活用するには具体的にどうすればよいのでしょうか?ここで、トレジャーデータの岸田さんパートにバトンタッチします。

お話いただくテーマは『DMPからCDPへ進化するデータ活用ビジネス。データをビジネスに変える方法とは』です。

画像: 岸田 昇 氏 アウトドアインストラクターなどを経験し、2012年株式会社ブレインパッドへ入社。2017年5月に株式会社トレジャーデータへ入社。現在はパートナーアライアンスを担当し、様々なパートナー企業と "新たなデータ活用" を日々追求している。

岸田 昇 氏

アウトドアインストラクターなどを経験し、2012年株式会社ブレインパッドへ入社。2017年5月に株式会社トレジャーデータへ入社。現在はパートナーアライアンスを担当し、様々なパートナー企業と "新たなデータ活用" を日々追求している。

まずはトレジャーデータについて

3人の日本人により創業されたトレジャーデータは、2011年にシリコンバレーでスタートしました。現在は米国本社に加え、日本と韓国にも支社を持ち、多種多様な業界のデータ活用のためのサービスを展開しています。

あらゆるデータを収集するオープンソース『fluentd』を開発したことで有名で、「トレジャーデータのサービスを一言で表すと、"つながるデータベース"です」と岸田さんは説明します。「お客様が準備したデータと、トレジャーデータのコネクタを繋げて、多種多様なデータを収集することができます。セグメントを作成したり、他のデータをくっつけたり。オフラインのマーケティング支援ツールや、BIツールとつなげてアウトプットしたりすることもできます」

データをビジネスに変えるには?

顧客を知るために必要なものといえば「データ」ですが、まずは
・誰のどんな課題をどのように解決するか
・誰のどんな予算をどこから持ってくるか
を考えることがビジネスを考える重要な要素である、と岸田さんは述べます。

「いくら貴重なデータでも、データは生のままでは売れません。ではどこから手をつければ良いのか。わたしたちはまず、ビジネスモデルキャンバスを活用し、課題と状況を理論的に整理して、解決策を考えます」

ビジネスモデルキャンバスとは
ビジネスで重要な9つの要素である「顧客セグメント」「顧客関係」「提供価値」「チャネル」「収入構造」「費用構造」「業務活動」「経営資源」「提携先」を図式化し、ビジネスモデルを理解するためのフレームワーク

では、メディアがデータをビジネスに変える上でのポイントはどのようなものがあるでしょうか?岸田さんは「データを情報に、そして知恵に昇華する必要がある」と前置きした上で、以下のように提唱します。

「ポイントは4つあります。1つ目は、ユーザーデータを統合させること。複数メディア・デバイスなど分散した情報をひとつにして、ユーザー像をはっきりさせましょう。2つ目は、コンテンツから情報をつくること。閲覧された記事に含まれるキーワードを抽出し、かつ、ユーザーの閲覧履歴をかけあわせて趣味嗜好を推定します。3つ目は、自社の強みを生かしたセグメントをつくること。バイクコンテンツがテーマであるなど、一般的なメディアにない特徴を、広告配信やCRMに使えるように成型し、すぐに使える状態にすると良いです。そして4つ目は最も重要なポイント。メディアならではの価値を作ることです。PR記事やリアルイベントなど、ブランド連携を行いましょう」

つまり、クライアントの"売上を上げたい"などの課題に対して、メディアが持つ豊富なデータを使いやすく提供することがキーとなります。また、クライアントのデータ取得予算・広告配信予算をどこから持ってくるかという点については、「FacebookやGoogleで既に使っている広告予算から持ってくるのが現実的」と付け加えました。

データを活用し、大きく成長している企業の共通点とは?

ここまではメディアのデータ活用についてご紹介しました。次に、ブランド側から考えてみます。

野村総合研究所によると、なぜ日本人がモノを買わないのかという調査に対し、「商品情報が多すぎて困る」と考える人は70%、さらに「性格・好みを理解し、適した選択肢を勧めてほしい」と考える人は88%にものぼるそうです。

データをうまく活用し成長している企業といえば、FacebookやGoogle、Amazonやairbnbなどが挙げられますが、これらに共通していることは、"データのパーソナライズド化に長けている"という点です。例えば、欲しいものを欲しいタイミングで届けたり、顧客の声を元にした商品開発をすることは非常に重要であり、上記の企業はそれらに重きを置いたマーケティングを積極的に取り組んでいます。

画像: データを活用し、大きく成長している企業の共通点とは?

ここで、ブランドがデータをビジネスに変えるポイントについて、岸田さんはメディアと同様4つのポイントを挙げました。

「1つ目は、メディアと同じくユーザーデータを統合させることです。2つ目は、パーソナライズドコミュニケーションの実現をすること。カスタマージャーニーを考え、デジタルデバイスのみならず、オフライン含めたすべての接点を考えるべきです。3つ目は、今必要とされているモノは何なのか、データを元にした商品 / プロモーションを行うこと。そして最も重要である4つ目は、メディアと連携し、それぞれのデータからカスタマー把握を行い、コンテンツパワーによる態度変容を促し、顧客育成をすすめることです。」

メディアとブランドの協力

データ活用ビジネスを加速させるためには、カスタマー(顧客)の理解が不可欠です。

岸田さんは、「データから相関関係を導くのではなく、因果関係を紐解くことでビジネスが生まれると考えられています。それには、自社データだけでは限界があり、メディアとブランド等、企業を超えたデータ連携が必要です。」と締めくくりました。

画像: 岸田さん、ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました!

岸田さん、ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました!

次回は6/21。テーマはトレンドど真ん中!『Instagramを活用したファンマーケティング手法』です。

次回のゲストは株式会社ライスカレー製作所 大久保 遼 氏です。
テーマは 『Instagramを活用したファンマーケティング手法』

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