いままでのIT系ベンチャーの多くはデジタルの範囲内での進化と深化を進めてきましたが、志を高く持つ起業家は、今後はリアル社会のアナログ的分野の刷新という実に困難な冒険に取り組まなければならないでしょう。

株式市場におけるB2C系企業の精彩のなさ?

昨日ある証券会社の方々と食事をしていて、「しばらくはB2C企業の、日本国内の大型IPOはないだろうなあ」という観測を伺いました。
まあ、当社(リボルバー)はゴリゴリのB2B企業なので、気分的には”ああ、そうですか”といった軽い受け止め方をしていたのですが、ふと世の中を見渡してみると、日本国内であれだけの隆盛を誇った国産SNSであるmixi(会社としてではなく、社名と同じソーシャルネットワークサービス)はもはや死に体となり、そのmixiを蹴散らしたはずのFacebookも、いまでは中にいるのは中年世代ばかり。Twitterは日本国内では好業績と聞きますが、それでも不正アカウントの閉鎖のためとはいえ月間利用者数が減少していることへの失望は否めない状態です。

ということは、いわゆるB2Cサービスの世代交代というか代替企業の勃興もあり得るのでは?と思ったりするのですが、実際にはそうでもない。

結果としてB2C企業の新たな台頭については期待せず、株式市場としてはB2B企業の上場ラッシュを待ち望む、ということになるらしいです。

デジタル内進化・深化が進んできた過去、アナログのデジタル化が始まった現代

ここで僕はふと思いました。Web2.0全盛時代、新たなサービスやデバイスがどんどん生まれて、インターネットが世の中を大きく変えていくという大きな期待を描いていた頃と、いったい今とでは何が違うのか、と。

僕が思うに、それはデジタル(インターネット)と、リアルもしくはアナログの世界がいまや完全に接触して、大きな蹉跌を生みやすい状況になっているためだと考えます。

どういうことかというと、インターネット勃興期からWeb2.0時代、西暦で言えば1990年代後半から2000年代は、デジタルがデジタルの中での最適化を進めていた時代であるということです。
例えば、携帯電話はケータイ、いわゆるガラケーからスマホに移り、全ての人が片手にインターネットに自由にアクセスできるデバイスを持つようになりました。これ自体はIP(インターネットプロトコル。インターネットに接続する最小単位とも言えます)が個々のパソコン、ひいてはオフィス単位だったり家庭単位だったものが個人単位になったということで、ネットへの接続単位の細粒化が進んだということをさしますので、実はものすごい変革なのですが、とはいえ、普通の人々からすれば、文字通りガラケーがスマホになった、というデバイスの変化という現象に過ぎません。

ゲームが専用機からケータイ、そしてスマホに移って、ブラウザー主体のゲームからアプリに移ったとしても、それはやはりデジタル→デジタルというシフトになるので、我々の生活が変わったとしても、インパクト自体はそれほど大きく見えないのです。

ところが、2010年代にあっては、例えばウーバー(Uber)やAirbnbのようなシェアリングサービスが台頭し、前者はタクシー業界の変革を、後者は旅行・ホテル業界の変革を強引に推し進めることになりました。インターネットサービスを提げたスタートアップがアナログな業界にデジタル化を迫ったわけです。

ウーバーやGoogle(の子会社であるWaymo) が取り組もうとしている自動車の無人運転もまた、アナログのデジタル化でしょう。単に車をロボット化する、というだけでなく、社会安全や法規制に大きく抵触する試みであり、技術的なイノベーションだけではすまない大きな範囲における変革を目指す試みです。

つまり、変革がデジタルからデジタルへの進化や深化ではなく、デジタルがアナログへ作用してきている、と言えるのです。
となると、アナログな社会にはさまざまな従来の法規制や業界標準が存在するので、単に便利だから優れているからという理由だけで押し迫ってくる脅威に対して、必ず抵抗します。

特に、社会全体が保守的で、ある程度成熟していた日本の場合、抵抗勢力の強さは生半可ではありません。結果として資金力の勝る米国系ベンチャーは黒船化するでしょうが、国内では抵抗勢力からの反撃を回避して、侵攻しやすい分野での起業が増えることになります。これが現在、国内のベンチャー事情がB2Bに寄っている理由だと僕は考えます。

その中で、法人向けのマーケティングテクノロジーのファストサービス化(ファストマーテク)という事業を選択した我々は、ある意味抵抗の少ない分野に逃げ込んだと言えるのかもしれません・・・そう考えるとやや忸怩たる思いがあるのですが、とても意義がある仕事をしているという自負も持ち続けてはいます。

なのですが、B2C、消費者あるいは生活者のライフスタイルや、社会全体を変える大きな取り組みに対して、生涯をかけて挑戦してみたい、という思いがあるのも事実です。そして、そうしたチャンスを与えられる日本企業は極めて少なく、多くは米国系になっているという事実を、寂しく思ったりするのです。

お問い合わせ

This article is a sponsored article by
''.