ビジネスパーソンの最重要スキルは、プライオリティ(優先順位)の付け方
仕事において最も重要なスキルは、優先順位の付け方です。その方法は実に簡単。
ToDoを重要事項と、緊急事項に分け、以下のルールに従ってリスト化するだけです。
- 重要かつ緊急
- 緊急
- 重要
- 緊急でも重要でもない
の順に処理する。それだけです。
1.2.3を迅速に処理するためには、1.2.3の順序を瞬断で判断する必要がありますが、同時に4に該当する業務を、当日に処理する必要があるのか、翌日ないし後日に処理の後回しにして良いのか、完全に放置してもいいのかなどの対応スケジュールを決めて、緊急事と重要事を処理する時間を捻出しなければなりません。
→この、処理時間を捻出するという行為が重要です。
文章で書けばこれだけのことなんですが、案外これができていない人が多いことに正直驚きます。
優先順位を考えてから仕事をせずに、手をつけやすいことから始める人が実に多いのですが、そういう人に限って、残業することで自らの可処分時間を作業時間に当てて、優先順位のつけ方のまずさを補填しています。やがて処理すべき仕事量そのものが増えたら、簡単に破綻することをわかっていないし、自分の可処分時間を換金することになんの疑問も不安も持たない人たちです。
欧米では、少なくとも大都市のそれなりの企業の中では、こういう人は絶対出世しない。優先順位を上手に、かつ迅速につけて(一つ一つの事項を処理するための時間を適切に見積もって)効率的に処理する人が、出世するべき人であるという認識が一般常識になっているからです。
こういういかにも出世しそうな上司であれば、若い部下は上司が指示する優先順位に従って仕事を出来るから効率的に処理できます(もちろん仕事そのものの処理速度が遅ければ時間はかかるが、優先順位が正しく決まっていれば、やがては処理速度も向上していきます)。
逆に上司が優先順位のつけ方は下手なままに、残業等作業時間を長くすることで対処してきた人であれば、部下は相当な不幸を強いられることになります。ブラック企業にありがちな光景です。
起業家は長時間労働とセットに見られるかもしれませんが、実は優先順位のつけ方がうまい(そうでなくてはやっていけない)
ベンチャー起業家=長時間労働、というセットで認識している人が多いかもしれません。確かに起業家はハードワーカーであり、可処分時間のほとんどを仕事に回すことが多いですが、それでも少しでも時間を有効に使うために、効率的な優先順位のつけ方を身につけている人が多いです。いや、上手な優先順位の付け方と、自分の可処分時間を将来の成功のために捧げることを厭わないという二つの資質の持ち主が、よい起業家である、といって過言では無いでしょう。
睡眠や社会的交流の時間を犠牲にしたとしても、人間は平等に24時間365日以上の時間は持てないことになっています。つまり犠牲にできる時間には限りがあるわけです。
だから、起業家という人種は、モバイルやさまざまな新しいワーキングツールの活用で二耕作三耕作的に時間を有効活用したり(例通勤時間や帰宅後でも一瞬で仕事モードに戻れるようにしたり)、カラダを鍛えて長時間労働やストレスに耐える心身を持とうと努力する人が多いのです。
いえ、長時間労働に耐える、というよりは、いつでも正しい判断(物事の優先順位を決め、やるべきことをどうやってやるか、の方針を瞬時に決断)することができるような、健全で強靭な精神力を保つことを心がけているといったほうが正しいでしょう。
こうした能力を持った上でも、成功するかどうかには運がつきまといます。優秀だから成功する、とも限らないのがスタートアップだし、ベンチャー起業というものです。
しかし、長時間働けば偉い、という判断基準がNGとなった現代において、優先順位のつけ方、それに伴う業務量に対する作業時間の見積の正確さ、そして予実を合わせる作業速度など、これらの能力を身につけている、もしくは身につけようと努力することが大切であることはいうまでもありません。それを無視する人は、自分が時代遅れであることを認識しなければならないのです。
僕の定義では、起業家とは、数年で一生分の労働をして、一生分の稼ぎを数年で得るために頑張る人です。もちろん大義名分として社会貢献のようなスローガンを掲げたり、とにかく金じゃない、仕事をするモチベーションはもっと崇高なものだと訴えることも、ときに必要でしょうが、端的に言ってしまえば、そういうことです。
だから少なくとも数年間は死ぬほど働くことを厭わない、それが当たり前なんですね。自分がそうだからといって、部下にまで同じような働き方を期待してしまうのは人情というものなんですが、いまどきはそれは許されない。
ならば、効率的に仕事をして、短時間で最大の成果を出してもらうために、せめて優先順位を考えた仕事スタイルを身につけてほしい。
そう思うのは起業家としてのエゴでしょうか。