第9回は、アライドアーキテクツ株式会社 執行役員 アカウント統括部長 田中 和洋 氏をお迎えしました。テーマとしては、リボルバーCEOの小川によるコンテンツマーケティング解説、そして田中氏によるSNSの企業活用解説です。
まずホストであるリボルバー側より、代表の小川浩が、ソーシャルメディアマーケティングを包含するコンセプトとしてのコンテンツマーケティングについて語りました。
AIDMA俯瞰のコンテンツマーケティング(小川浩@Revolver)
小川は、消費者が欲しがる情報と、企業側が発信したい情報を絶妙に組み合わせたものが、コンテンツマーケティングにおける有用なコンテンツであるとした上で、そのコンテンツを制作し、配信し、その結果として消費者の関心を引き寄せ、最終的にファンになってもらうことが重要であると述べました。
この考え方において、SNSを経由してコンテンツを配信したり、エンゲージメントを高めていくことがソーシャルメディアマーケティングであり、その意味でコンテンツマーケティングとソーシャルメディアマーケティングは基本的に同じである、と小川は強調しました。
消費者があるブランドやサービスを認知し、興味や関心を持ち、実際に購入したり購読するようになり、そしてそのメッセージに強く共感してリピーター(ファン)となる。この過程をモデリングしたものをマーケティングファネルといいます。
ファネルとは漏斗のことであり、漏斗=ファネルで濾した様子に似ているところからそう呼ばれるのですが、潜在的な見込み顧客を広く集めたうえで、ふるいにかけた見込み顧客が、検討・商談、そして成約へ流れる中で段々と少数になっていくさまを表現してるのです。
このマーケティングファネルにおいて、認知を喚起するブランディングについては、以前はテレビや雑誌などのマスメディアによる広告が中心で、インターネット広告は最後の購入に踏み切らせる背中のひと押しとしてしか活用されてきていなかった、と小川は説明しました。
しかし、消費者行動が大きく代わり、特に若年層にみられる傾向として、消費者はテレビをみない、新聞を読まない、ラジオを持っていない、雑誌を買わない、など、マスメディア離れが進んでいます。代わりに台頭しているのがモバイル(スマートフォン)であり、SNSやニュースアグリゲーションサイトなどになります。つまり、従来のマスメディアでは消費者にリーチできなくなりつつあり、インターネットを介したマーケティング戦略の重要度が増しているのです。
コンテンツマーケティングにおける良いコンテンツとは、消費者が喜んで消費してくれるであろう情報であるだけでなく、企業側としても消費者に伝えたいメッセージを内包させたものでなければなりません。そのためには絶妙なクリエイティブ戦略が必要であり、消費者がそのコンテンツに触れる場所 に最適化しなければなりません。
例えば動画形式のコンテンツであれば、YouTubeで配信するのか、FacebookやInstagramで配信するのか、Webサイトに置くのか、PC上でみてもらうのか、スマホでみてもらうのかなど、プラットフォームやデバイスの違いを常に考慮する必要があるのです。
消費者の嗜好を知り、収集したデータを解析し、消費者がどんな場所でコンテンツに触れるのかを推測した上でコンテンツを作らなければならず、そしてさらにその結果を踏まえて次のコンテンツの設計に向かう。コンテンツマーケティングとは連続した、不断の戦略であり、テクノロジーベースのマーケティングなのだ、と小川は語りました。
複数SNS利用における運用戦略とは(田中 和洋 氏@アライドアーキテクツ)
アライドアーキテクツ株式会社はSNSマーケティング専門会社。その執行役員である田中和洋さんは、2010年の(中途)入社後、営業を経て、2017年から大手企業向けの営業、コンサルティング、運用業務を総括するアカウント統括部長に就任されたとのこと。
「この世界に入ったきっかけは、小川さんの『ソーシャルメディアマーケティング』という本に啓発されたことでした」と笑う田中さん。
いまではソーシャルメディアマーケティングの第一人者として、多くの企業の戦略立案・実行に携わられています。
SNS拡大している中、どういう用途で生活者がつかっているか
まず田中さんが指摘したのは、2000年代から現在にいたるまで、消費者が情報に接触する機会や態度に大きな変化があった、ということです。2000年以前には四マスと呼ばれるマスメディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)からの一方的な情報伝達が一般的であったものの、現在ではSNS経由して、皆が共有した情報から自分に似た嗜好を持つ人のオススメを重視するようになってきた、と田中さんは説明します。
小川が説明したことと同様に、消費者にブランドやサービスの存在を認知させる、ブランディングにもSNSは活用されるべきであり、マスメディアに代わり、新しい情報との接触ポイントとしてSNSは重要になっているということです。
現在では、国内にはFacebook(利用者数 2,700万人)、Instagram(利用者数 1,600万人)、Twitter(利用者数 4,000万アカウント≒一人が複数アカウントを使いこなすが通常)、LINE(利用者数 6,000万人)の4つの主要SNSがそれぞれ異なる特徴とユーザー層を誇っています。(2016年12月時点※ワークショップ開催時のデータ)
「Twitterであればその速報性を活かし、Facebookであれば消費者の共感作りに活用し、Instagramでは若い女性を中心にセンスの良い画像を使った話題作りに使い、LINEであればユーザー数の大きさを活かした大規模リーチや1 to 1のコミュニケーションに活用します」と田中さん。
SNSの種類や、特性の違いによって利用方法を切り分けることが重要である、ということになります。
最近のマーケティングトレンド:ハッシュタグの活用法
消費者がマスメディアを含む、さまざまなメディアを使い分ける中、最近もっとも急成長しているSNSであるInstagramの影響で、ハッシュタグが重要性を増している、と田中さんは指摘しました。
ハッシュタグ(#)といえばTwitterを思い出しますが、いまではInstagramで多用されることで、若年層に一気に普及しているのだそうです。
その使い方は、 以下のようになります。
1. 他のユーザーとつながりたい
(本来の使い方)
⇒つながり
2. 検索
(最近メインになってきている)
⇒自分ごと
例えば、#6ヶ月、というタグをつけて投稿されている画像には、
・生後6ヶ月の赤ちゃん
・付き合い始めて6ヶ月のカップル
などの画像が並び、同じ体験を共有するコミュニティができている、と田中さんは言います。
さらにそのハッシュタグで知った具体的なキーワード(店舗名やブランド名)がGoogleなどにおける検索ワードともなり、Instagramを超えて、情報が伝達されていく、と田中さんは説明するのです。
企業のSNS活用が進む
消費者のメディア活用の態度変容と、SNSの普及によって、企業もマーケティングにSNSを取り入れるようになった、と田中さんは語ります。
田中さんは、企業のSNS活用の目的の一部とし、以下の四つを紹介してくれました。
①『センス』の拡散プロモーション
まだ銘柄認知が無い商品だが、存在を知らせたい!
②ブランドや商品の『自分事化』
商品名は浸透しているが、商品の利用メリットなどを浸透させたい
③継続的な接点で『積上げ型の想起』
競合とのシェア争いを、広告費の消耗戦を避けて勝ちたい
④企業のアクティブサポート
ユーザー間のやり取りに企業が能動的に参加してプロモーション
とにかく活用する目的の可視化が重要です、と田中さんは言います。「例えばSNSアカウント運用であれば、その目的を設定し、実際にその目的が達成できているかを定期的に確認し、運用を改善していかなければなりません」
「SNS上で接点を持っているユーザーへ、定期的にアンケート調査を行い、属性や態度変容、購買変化を確認したり」「ヒト軸で効果測定を行うことで、施策によるユーザーの変化を可視化し、ネクストアクションにつなげ、接点のあるユーザーに合わせたコミュニケーションを設計しなければなりません」と田中さんは説明しました。
田中さんはさまざまな事例を引き合いに、その実際の運用を説明されましたが、詳しい内容を知りたい方は、以下のフォームからお問い合わせください。