コンテンツマーケティングやWebメディアをテーマに定期開催している小規模勉強会「Workshop@THE FACTORY」。2020年1月16日に開催された第32回のレポートをお届けします。ゲストは株式会社扶桑社 デジタル統括局デジタル&Web事業部部長兼週刊SPA!副編集長の角田剛士氏。テーマは『出版社が本気でWeb事業をやろうとしたらわかったこと』です。

ゲスト講師:
株式会社扶桑社 デジタル統括局デジタル&Web事業部部長兼週刊SPA!副編集長 角田剛士氏

角田剛士
2001年、株式会社扶桑社入社。『月刊ビジネスSPA! e+B』編集部、広告部企画担当を経て、2005年から『週刊SPA!』編集部。2011年からは立ち上げメンバーとして『日刊SPA!』も兼務。本誌ならびにWebの副編集長として主にビジネス周りを担当。2019年よりデジタル統括局デジタル&Web事業部部長

扶桑社のWebメディアが増えていったその背景とは

『週刊SPA!』や『ESSE』でおなじみの扶桑社。その他にも『Numero TOKYO』、『天然生活』、『haru-mi』、『住まいの設計』、『relife』、『MAMOR』、『皇室』など総合週刊誌からライフスタイル・ファッション誌までさまざまなジャンルの雑誌を発行しており、その他書籍やムック本なども多数手がけている総合出版社です。

そんな扶桑社がWeb媒体を始めたのが今から9年前。始まりはニュースメディアだったとのこと。各雑誌のWeb媒体やWebオリジナルメディアの展開を拡大していき、昨年8月新たに暮らしの情報サイト『天然生活web』がオープン。現在9メディアへと成長を続けています。

画像1: 扶桑社のWebメディアが増えていったその背景とは

扶桑社の中でも中心となるメディアが、『週刊SPA!』のオンライン版であり、ニュース・ライフスタイルからエンタメ系などさまざまなジャンルを取り扱う『日刊SPA!』。『週刊SPA!』の雑誌記事はもちろん、Webオリジナルのコンテンツなど幅広く展開しています。さらにその女性版となる『女子SPA!』が6年前よりスタート。世間一般的に見ても男性の読者が多いであろう『週刊SPA!』から、なぜ女性向けのメディアが展開されたのでしょうか。

角田さんによると、背景には、“雑誌とWeb媒体のユーザー属性の違い”が大きかったとのこと。元々『週刊SPA!』の読者層は男女比9:1だった一方、『日刊SPA!』のユーザーにおいては6:4と比較的女性が多く、また、男性向けに作っていた情報が予想していた以上に女性の閲覧率が高かったそうです。扶桑社としてSPA!の名前を掲げた別メディアを立ち上げたいという方向性もあり、そこで『女子SPA!』がスタート。かつてのイメージにはない、ターゲットを女性に絞った、女性に見てもらうためのメディアとして展開。『週刊SPA!』のメソッドを活かし、トレンドや世の女性の本音など日々配信をしています。

その後、SPA!の冠をあえてはずした『HBO』、若者をターゲットにした『bizSPA!フレッシュ』など、SPA!系メディアは、現在4媒体あるそうです。

さらに女性誌を多数取り扱う扶桑社の強みを活かし『ESSE online』『Numero TOKYO』『天然生活Web』のメディアがスタート。雑誌媒体のノウハウを活かしながら、女性をターゲットとしたメディアとして展開しています。さらに住宅領域を媒体とした『日刊Sumai』や地方創生ビジネスをターゲットにした『カラふる』などのWebメディアもスタートし、日々コンテンツの配信を行なっています。

画像2: 扶桑社のWebメディアが増えていったその背景とは

Web展開を広げていった結果得られたユーザー特性を、次に立ち上げるメディアの方向性やターゲットに落とし込んでいったのが、扶桑社のWeb戦略のひとつ。出版社としてのノウハウを活かしながらWebでの最適化を常に追求していくことで、他社に負けないメディアの立ち位置を確立させています。

メディアの特徴 雑誌編集とWebコンテンツ制作について

9メディアの中で雑誌に紐づいているWebメディアが『日刊SPA!』(週刊SPA!)、『ESSE online』(ESSE)、『Numero.jp』(Numero TOKYO)、『日刊Sumai』(住まいの設計)、『天然生活web』(天然生活)の5メディア。こちらは本誌による転載記事とwebオリジナル記事で運営しています。

残る4メディアは、『女子SPA!』(女性版SPA!)、『HBO』(オピニオンニュースメディア)、『bizSPA!フレッシュ』(20代ビジネスマン向けメディア)、『カラふる』(地方創生メディア)。こちらはWebオリジナル記事のみで運営しています。9メディアすベてユーザーから課金は得ておらず、掲載記事を誰でも閲覧することができます。

共通の特徴は、Webコンテンツの製作および運営を各雑誌編集部で行っている点。雑誌編集とWeb編集を切り分ける出版社も多い中、扶桑社ではWebオリジナルコンテンツに関しても雑誌編集部が担っているとのこと。Yahoo!ニュースやLINE NEWS等の外部配信やソーシャルでの拡散力を活用し、トラフィックの最大化を図っています。

画像: メディアの特徴 雑誌編集とWebコンテンツ制作について

同社のメディアとして後発であった『天然生活web』は、リボルバーが開発・提供するパブリッシングプラットフォーム「dino」を採用しています。なぜ「dino」だったのか、角田さんによると1.短期間での立ち上げが実現可能 2.低コスト 3.「オートページング」の効果を検証したかった との理由が挙げられました。

収益予測が難しい状況において、比較的低コストで立ち上げ可能な「dino」は導入のハードルが低く、また独自の「オートページング」機能がPVの最大化に効果的なのではと角田さんは解説してくださいました。

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