PDCAに代わる?ビジネス戦略理論として脚光を浴びている、OODAループをご存じでしょうか。
Observe(観察し)、Orient(方向を決め)、Decide(決断し)、Act(行動する)の頭文字をとってOODA。このOODAを問題解決するまで何度でも繰り返し行うからOODAループと呼ばれます。
元々は空軍パイロットだったジョン・ボイド大佐が提唱した(彼自身がウーダループと発音した)理論で、いまや多くの企業のビジネスモデルに応用されているそうです。

大鑑主義のPDCAサイクルから機動力重視のOODAループへ

PDCAを回すとはよく言いますね。Plan-Do-Check-Actionの略ですが、まず計画ありきで、それを実行しながら成果を確認し、改善していく、という意味です。これを繰り返していく=PDCAを回すことで、業務の効率を上げていく、というコンセプトです。回していくのでサイクル、という言葉を用います。つまりPDCAサイクル、です。
最初にプランが来るように、まず絶対的な計画を立ててから、実行に移していくという点で、そもそもが年単位、早くても四半期や月単位の時間軸に即した作戦行動であることがわかります。

それに対してOODAループは、元々が(戦闘機乗りの)航空戦での体験をもとに体系化されたコンセプトだけに、ひっきりなしに状況が変わる現場での意思決定プロセスです。つまり分秒単位という超短の時間軸に即した作戦行動なのです。

日本企業は意思決定が遅いと言われますが、その最たる原因が、経営上の意思決定プロセスがPDCAサイクルを基盤にしているからであり、欧米企業の多くはOODA的思考に基づいて意思決定しているから日本企業をはるかに超えるスピードで動くことができるという分析がなされています。

もちろんPDCAサイクルの全てが悪いと言うことではないし、OODAループが万能である、ということでもないのですが、少なくともPDCAよりもOODAのほうが速く回転させやすいのは確かで、じっくりと念入りに動かしていくほうが向いている組織やプロジェクトならPDCA的なアプローチでいいと思います。ただ、社員一人一人や、小規模なチーム編成のリーダー格がPDCA的思考法で動いていたとしたら、それはかなり硬直した組織になっていると言わざるを得ない。
やはり状況変化が日常的に起きる現場においては、OODA的思考法を備えた社員こそが求められると言えるでしょう。

少なくともベンチャー企業では。少なくとも当社の社員は、OODA的思考でもって動いてもらいたいと思いますね、実際。

OODAループ(英語: OODA Loop、ウーダ・ループ)は、アメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱した理論。
元々は航空戦に臨むパイロットの意思決定を対象としていたが、作戦術・戦略レベルにも敷衍され、更にビジネスや政治など様々な分野でも導入されており、コリン・グレイらにより、あらゆる分野に適用できる一般理論 (Grand theory) と評されるに至っている

OODAループを高速化することは・・・できる

PDCAとOODAの最大の違いは、PDCAサイクルがPlanから始まるように万全の計画を立ててから行動しようとする、比較的自分本位な考え方であるのに対し、OODAループはObserve、つまり周囲や相手をまず観察してから自分の行動を決めていこうとする相手本位の考え方であることでしょう。
つまり、自分以外の外部状況を確認し、データ収集、分析をしたのちに意思決定をするという概念であることがOODAの特徴です。

また、OODAにおいては、二番目のO=Orient(方向づけをする)が最も重要なプロセス(提唱者のボイド大佐はOrientをBig Oと呼んでいたそうです)であり、いくら状況判断を的確にしても、念を入れすぎて何度もなんどもOrientを繰り返してしまえば、それは石橋を叩いて渡らないことになり、いつまで経っても次のDecideにいけない。決断を下せないということになり、立ち往生することになります。(下の図の、Orientエリアにかかっているループアイコンが、この思考の逡巡を意味しています。これの逡巡を限りなくゼロに近づけることが意思決定速度をあげることになります)

画像: OODAループの中ではOrient(Big Oとも呼ばれる)が最も重要なプロセスで、ここでの速度が遅くて意思決定に至らないことが致命的な敗北につながるとされる。

OODAループの中ではOrient(Big Oとも呼ばれる)が最も重要なプロセスで、ここでの速度が遅くて意思決定に至らないことが致命的な敗北につながるとされる。

例えば、誰かに急に殴りかかられたとしたら、反撃するか逃げるかを決めなければなりませんが、なにより優先なのは当然ながら飛んでくる拳を避けることなのは言うまでもないですね。

パンチを受けたら避ける。これは一種の脊髄反射です。この反射にはOODAは関係ありませんね。
パンチが来たことを確認する=Observe。とっさにこれを避けるのは、DecideでありActです。つまりOrientをすっ飛ばしているわけです。
言い方を変えると、仮に誰かに殴りかかられたら「避けるべきである」という方向づけが最初から為されているとも言えます。もし訓練により、ある程度Orientの部分を最初から決めておけるならば、これはかなり高速でOODAループさせることが可能です。
例を言えば、武術家や軍人らは訓練によって殴りかかられたら(←この状況をObserveしたら)、「避ける→反撃する」「避ける→(人数が多かったり相手が強そうなら)逃げる」などのDecideからActを決めておける、ということです。

画像: OODAループ<ウーダループ>を理解しよう
PDCAサイクルに代わる?新しい行動理論とは?

囲碁でいうなら「定石」、空手や拳法でいうなら「型」ですね。

つまり、武術家や軍人は、戦いにおけるシチュエーションごとに最適化されたOrientのパターンを瞬時に選択し、Decideして(決断して)Actする(行動に移せる)ように、訓練されている、ということです。

つまり、OODAループは、個々に訓練することが可能であり、ある程度は誰もが同じように行動するようにすることができるメソッドです。もちろんその習得・習熟度合いには個人差が出てきて、とっさにする行動にはどうしても差異が出るでしょうが、それでも為すべきことがわからずに大混乱する、という事態は避けられそうです。

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