疾如、徐如、侵掠如、不動如
その頭文字をとって、 風林火山。戦国時代最強と謳われた武将 武田信玄が好んで用いたとされる旗印です。2019年は武田信玄に負けないくらいパワフルな旗印を掲げて攻めていきたいと思っています。
チームを引率すべきリーダーには(チームの士気をあげ、戦う意義を与えられるために)誰もが覚えられるだけのシンプルさと意味深さを兼ね備えたうえで、第三者が嫉妬するくらいかっこいいスローガンを用意することが求められる。あなたの組織の『風林火山』はどんな感じでしょうか?

目指すべきゴールを示した織田信長の「天下布武」、武人の心得を示した武田信玄の「

疾如、徐如、侵掠如、不動如。日本語読みすると「其の疾きこと風の如く 徐(しず)かなること林の如く 侵掠すること火の如く 動かざること山の如し」となります。風のように素早く進軍し、林のように冷静沈着を保ち、火のように激しく攻め込み、山のように泰然自若と動揺することなく堅く守る、という意味になるでしょう。

ご存じと思いますが、この風林火山は、元々は中国最古にして最高の兵法書「孫子」の、(13篇で構成されているうちの第7篇である)軍争篇に書かれている、軍隊の運用方法に関する記述「故其疾如風、其徐如林、侵掠如火、難知如陰、不動如山、動如雷霆」から取られたものです。

陰雷が外されているのは「知りがたきことの如く」「動くこと霆(らいてい)の如し」というのが、林と火の特性に似ているから省いたのでは、と言われていますが、四文字にしたかった、という、先にフォーマットを考えてからこじつけた(そして風林火山のほうが、風陰雷山より、シンプルでかっこいい)からだと思います。

ところでこの風林火山、最強の戦国大名 武田信玄が旗印に使っていたということで、非常に有名な四文字ですが、実は創作らしいということを最近知ってショックを受けています。武田信玄が孫子から影響を受けていたことは事実らしいですが、風林火山という言葉を使ったことも、それを旗印に用いていたかどうかも史実上はわかっていないようです・・・。どうも井上靖が1953年に発表した、山本勘助を主人公とした歴史小説『風林火山』がその”語源”ということになるらしいです。

まあ、それは本筋とは関係ないので置いておくとして。
まず言いたいことはこの”風林火山”という旗印(今風に言えばモットーとかスローガン)が、武田信玄という戦国時代最強とされる武将がいかにも好みそうな言葉であるし、言いやすく覚えやすく、そして意味深いということです。後付けにせよ、この風林火山という旗印があったからこそ、武田軍団の強さがあったのではないか、とも思うのです。

戦国時代において、この風林火山に匹敵するカッコよさとわかりやすさを持つスローガンがあるとすれば、織田信長の「天下布武(てんかふぶ)」くらいでしょうか。天下に(織田家の)武を布く=天下を統一する、という目標というか野望を端的に表したカッコいい意思表明です。
この天下布武、シンプルさとカッコよさでは風林火山より上かもしれません。ただ、意味深さ、という点では孫子の一節を語源に持つ風林火山のほうが巧みであり、教義的であると思います。

天下布武のほうが、より強いリーダーシップを表しているし、チームのゴールを規定しているという点でスローガンとしては良いサンプルかもしれません。ベンチャー風に言えば、天下布武は「史上最短でIPO!」とか「ユニコーン企業になる!」とか「海賊王に俺はなる!(©ルフィ)」のような感じでしょう。
逆に風林火山は、チームが持つべき心得というか行動規範・哲学としての存在感があるとも思います。

このあたり、どっちを好むか、どちらを採用するかは組織とリーダー次第、ですね。ただどちらにしても、リーダーシップを示してチームを鼓舞し檄を飛ばすセンスメイキングを考える上で、これらのようにシンプルで力強くてカッコいいスローガンやモットーを掲げることは大事だと思います。

スローガン、モットーあるいはタグライン。not キャッチコピー
自分たちの「風林火山」を掲げたい

マーケティング的にいうと、企業における旗印はタグラインと言います。

タグライン(tag line)とは顧客と潜在顧客、つまり世の中に対して、その企業やブランドが持つ感情面と機能面のベネフィット(優れた点)をわかりやすく伝えるための表現である。 またタグラインは具体的で、誰にでもわかる言葉で簡潔に書かれている必要がある。目安としては15文字程度が望ましい。

ただ、僕が思う、旗印としてのタグラインを用いている企業は案外少ない。大抵はキャッチコピーと混同しているのです。有名どころでいうと・・

カルピス株式会社

  • カラダにピース

コスモ石油

  • ココロも満タンに

日産

  • SHIFT THE FUTURE

これらはキャッチコピー的だと僕は感じます。風林火山的でもないし天下布武的でもない。

もちろんタグラインがキャッチコピー寄りであってはいけない、ということではありません。ただ、本ブログで僕が訴えたい、僕たちが掲げるべき旗印は違うな、というだけです。

タワーレコードのNO MUSIC, NO LIFE. これは旗印に近いですね。富士ゼロックスのThe Document Company これも近い。

自分たちがあるべき姿を端的に表し、士気高揚ができて、口ずさみやすくてカッコいい。そんなタグライン、自分たちだけの「風林火山」を持ち、掲げることができたなら。
2018年もそろそろ終わり・・・株暴落のきっかけという、ありがたくないクリスマスプレゼントを米国からもらってしまいましたが、そんな逆境に負けることなく、2019年をさらなる飛躍の年にするためにも、新たに自分たちのオリジナルの「風林火山」を考案し、意気揚々と高く掲げていこう。

年末年始は少しばかりの休養をとりますが、頭脳と精神の動きを止めるはずもなく、まずは我々だけの「風林火山」を考えることに時間を使おう、そう思っています。

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