COVID-19(新型コロナウイルス感染症)問題に対処するため、2020年4月現在日本では緊急事態宣言が発令され、全国的に自粛モードに入っています。経済は停滞し、かつてない景気後退期に我々は直面していると言えます。こんなときに為すべきことはただ一つ、生き残ること。そのために必要なことは、嵐が過ぎ去るまで思い切って縮こまるべきです。
それでも少しでも前に進みたい、攻勢を維持したい、闘志を漲らせたい、という方、いらっしゃいますよね。(はい、僕もその1人です)
そんなときにこそ、おすすめなのが、古代ギリシアで用いられた重装歩兵による戦闘隊形「ファランクス」を意識することです。

古代ギリシアが得意とした戦闘形態 ファランクスとは

ファランクス(Pharanx = ファランクス(古代ギリシャ語: φάλαγξ、phalanx)は、古代において用いられた重装歩兵による密集陣形である。集団が一丸となって攻撃するファランクスは会戦において威力を発揮した

2020年4月現在、多くの方が在宅勤務などで自宅に篭ってらっしゃると思います。そんな中、動画ストリーミングサービスなどでドラマや映画を楽しむことで日々の慰めを得ている人も多いでしょう。(実際、Netflixは予想を超える新規加入者を得ているとのことです)

実は僕もこの機にいろいろな動画コンテンツを消費しているのですが、たまたま『300<スリーハンドレッド>』を久しぶりに観たわけです。

BC500年あたりに起きたギリシアの都市国家たちとペルシア帝国の戦争(ギリシア・ペルシア戦争)の中でも、最も有名かつ凄惨な戦いとなった「テルモピュライの戦い」を題材に、200万人とも言われるペルシア軍の侵攻にたった300人(諸説あります)で立ち向かったスパルタ軍の勇猛さを描いた作品ですが、この中に ファランクスが出てきます。

ファランクスは、左手に盾、右手に槍を持った重装歩兵が列を作って密集して、盾を少しずつ重ね合わせるようにしながら壁を作りつつ槍を突き出す隊形です。相手の弓矢などの飛び道具から身を守りつつ、ちょっとずつ前進して相手を押し崩すという戦法で、機動力や速度を捨てて、思い切り身を固めながら防御しつつ、集団でのパワー勝負を挑む、というものです。

重装歩兵が、左手に円形の大盾を、右手に槍を装備し、露出した右半身を右隣の兵士の盾に隠して通例8列縦深程度、特に打撃力を必要とする場合はその倍の横隊を構成した。戦闘経験の少ない若い兵を中央部に配置し、古兵を最前列と最後列に配したが、右半身が露出することから、特に最右翼列に精強兵が配置された。同等な横幅をもつ敵と対峙して前進する際、これらの兵士は盾のない右側面を敵に囲まれまいとして右へ右へと斜行し、隊列全体がそれにつれて右にずれる傾向があった。攻撃の際は横隊が崩れないように笛の音に合わせて歩調をとりながら前進した。

このファランクスは、同じ古代ギリシアのトロイ戦争を題材にした(ブラッド・ピット主演の)『トロイ』にも登場し、ギリシアといえばコレ、というイメージがあります。

隊形的に、超密集型の戦法ですので、三密(密閉、密集、密接のこと。仏教でいう三密とは違いますよ)を避けなきゃモードのいまですから、物理的にそんな体勢をとれ、と言っているわけではないことくらい、言わずものがな、ですよね?

攻防分離のファランクス

このファランクスは、基本的に前進しかできず、機動性を完全にあきらめた戦法です。小回りは全く効かないし、横からとか後ろから攻められたら手のうちようがないモロさを持つ隊形です。
ただ、騎兵や銃火器がない古代にあっては、正面からの攻撃に対する防御力は強く、さらに遅いとはいえ、同じく正面の敵に対する攻撃力も高くて、非常に強い圧力をもった戦法でした。

映画『300<スリーハンドレッド>』よりも、『トロイ』での(ブラピが扮したアキレスを中心とした)ファランクスのほうが、より印象深いのですが、壁のように重ねた盾で敵の攻撃をガッチリしのぎ、攻撃が止んだ瞬間に移動を開始して敵陣にどんどん接近していくその姿は、実に勇ましく力強いものです。
つまり、防御するときは徹底して防御して、とにかく敵の攻撃をやり過ごす。無駄に攻撃をすることなく、耐えるときはとにかく耐え忍ぶ。
そして、攻撃が止んだと見るや、即座に前進し、貯めに貯めたパワーを解放して相手を殲滅するのです。

つまり、攻守一体の見事さ(武道でも格闘技でもそれが理想とされますが、防ぎながら攻撃する、避ける動作と攻撃する動作が一体化していること。攻防一致とも)を備えた華麗な戦法というよりも、攻守が完全に分離していて、守勢の時はガッチリガードを固めて急所を打たせず、相手が疲れるなどして手が止まった瞬間に攻勢に移る、という攻防分離スタイルなのです。

攻守一体・攻防一致スタイルはある意味天才型にしか許されないスタイルです。ボクシングで言えば、シュガー・レイ・レナードや、メイウェザーなどが良い例と言えるでしょう。

ファンランクスは、凡人であっても訓練を受けることによって成立する技能であると僕は思います。攻守不一致、攻防分離スタイルであって、華麗さと瞬発的な威力を捨てて、確実・堅実さと 訓練によって身につけることができる高い再現性を選んだ戦法であると言えるのです。
(ボクシングで言えば、マイク・タイソンはこの型だと思います。徹底し攻撃を避け、ピークアブー(覗き見スタイル)と言われた固い防御を取り続け、ここぞというときに豪腕を振るう。実はものすごく堅実な戦法をとっていた頃のタイソンは本当に無敵でしたが、パンチ力に頼りすぎるようになって堅い守りが疎かになってきたとき、彼は簡単に負けるようになっていきました)

守るなら徹底して守れ。攻めるべきタイミングを徹底して待て。ファランクスの精神を身につけよ!

話を戻しますが、現在、日本は緊急事態宣言が布かれています。このモードは世界的なものであり、とにかく感染症の流行を止めるまで、さまざまな行動が制限されている時期です。経済的に言えば、多くの中小企業や街の飲食店などが倒産リスクにさらされており、大企業でさえも史上最悪な景気後退の中でサバイバルのために身を縮こめなければならない状況になっています。

この状況が治ったとき、景気がすぐ戻るかどうか、僕にもはっきりとはわかりませんが、未曾有の不景気に覆われたとしても、やがては経済が上向くときがくるでしょう。つまり、現在は嵐というか凄まじいまでの嵐の真っ只中に我々はいる。この嵐がいつ治るか分からないし、治ったと思いきや再発する恐れもないわけではない。ただ、いつかは治るだろうし、晴天にもなるだろう・・・、と思っておくべきです。

この中で、多くの企業は徹底して縮こまってとにかく生き延びることを考えるべきだし、消費者としての個人もまた、文句や言いたいことはあるとは思いますが、とにかく金を使わず、自分の生活を守るほかありません。その意味で、すぐ気が緩んで遊びに出かけたりするのは 持ってのほかであるということです。

そう、ファランクスのように、盾を掲げて強く堅い壁を作って、徹底的に身を守る時期に我々はいるのです。激しい攻撃にさらされても必死に身を守る、仲間を信じて、自分を信じて耐え抜く。耐え凌ぎながらもジリジリと前進することは可能かもしれないけれど、右手の槍を相手に突き立てようとか投げつけようなどと思ってはいけない。いつか立ち上がって攻めに転じる瞬間が来ることを信じて闘志を漲らせていればよいのです。

(『300<スリーハンドレッド>』よりも『トロイ』のほうが攻防不一致のスタイルがわかりやすく描かれていると思いますが)守れ!と言われたらさっと固まって盾を掲げる。攻めることは考えず、徹底して守りを固めることだけを考え、ひたすらそれを行う。攻めよ!と言われたら立ち上がって前進し、相手に槍を突き立てることだけを考える。これがファランクスであり、今僕たちに必要なのは、このファランクスを心に象ることだと思います。

徹底すること。甘えは許されません。守るときは守る、攻めるときは攻める。
とにかくそれを徹底して行う、兵士のような気分を持つこと。それがいま、我々がするべきことだと思います。特にベンチャー企業は、いつか自分たちにとって最適な流れがやってくることを信じて、潮目が悪いときは、ひたすら縮こまって守りぬく、ただしその中でも気持ちだけはいつかくるであろう攻めのタイミングに合わせて気を込め闘志を溜め込むこと。そのことを忘れずにいなければなりません。

俺たちはスパルタだ!(We are Spartan)

と、嵐が過ぎ去ってからおもむろに立ち上がり、こう叫ぼうじゃないですか。

画像: 緊急事態宣言下、ファランクスに学んで正しく耐えぬけ!

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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