2024年1月24日に開催したセミナーでは、株式会社博報堂アイ・スタジオの佐藤匠氏とメディアエンジン株式会社の白井圭太氏をゲストにお招きし、『採用活動の要は企業ブランディング! 中小企業のためのオウンドメディア運用講座』をテーマにご講演いただきました。また、リボルバーからは小野寺華香が登壇し、実例をご紹介しながらコンテンツマーケティングスイート「dino」の特徴についてお話しました。

メディアエンジン株式会社 白井圭太氏 講演

続いて、メディアエンジン株式会社の白井圭太さんにお話しいただきました。

白井 圭太(しらい けいた)
メディアエンジン株式会社
執行役員 CRO

1990年生まれ。サイバーエージェント、Twitter Japan、DeNAでアプリを中心としたマーケティングに従事。2019年メディアエンジン株式会社に参画しコンテンツマーケティング事業統括を経て、2020年1月執行役員就任。主に営業・メディア・アライアンスを管掌し、2022年1月より現職。

ソウルドアウトグループについて

ソウルドアウトのポジション

メディアエンジンが属しているソウルドアウトグループは、中小企業やベンチャー企業向けに様々なサービスを提供しています。グループ各社はカンパニー制をとっており、マーケティングカンパニーであるソウルドアウトは、中小企業向けの広告代理店として、地方22拠点を擁し、業界をリードしてきた企業です。2017年には一度上場を果たしており、2022年に博報堂DYグループ傘下に入りました。中小ベンチャー企業向けに、インターネット広告やプランニング、PRなど、述べ3,500社以上を支援しています。

メディアエンジン社提供サービス

一方でメディアエンジンはメディアカンパニーとして主にコンテンツマーケティングの制作、メディア企業・出版企業向けの広告マネタイズ支援を中心に提供しています。組織としてはデジタルコンテンツ事業部とメディア事業部に分かれ、前者は記事制作やメディアの開発支援を、後者は広告マネタイズなどを行っています。

特筆すべきは、自社開発の独自ツール「&AI」によるSEO分析や競合記事分析などのサービスです。さらに様々な分野に知見を持つ約3,000名のクリエイターを有しており、これにより業種業態を問わず幅広いクライアントに対応しています。

画像: ソウルドアウトグループについて

中小企業における採用課題

中小企業の採用活動|あるある負のパターン

今でこそソウルドアウトの子会社となり、そのソウルドアウトが博報堂DYグループ入りしているものの、2017年の創業当時のメディアエンジンは、独立系の企業として運営していました。名もない会社であった当時は、採用にはかなり苦戦していたと白井さんは振り返ります。

中小企業における一番の採用課題は、労働人口の減少に伴う有効求人倍率の上昇です。いますでに、人の奪い合いのような状況が続いています。採用の難航は既存社員の労働環境の悪化に直結するほか、積極的な投資が難しくなることから事業縮小や競争力の低下にもつながると白井さん。労働人口の減少に伴い、競争力のない企業にとってはまさに「あるある」で、負のスパイラルに陥るリスクが高いと警告します。

画像: 中小企業における採用課題

2030年にどのくらい人手不足となるか?

労働人口の減少は、生産年齢人口の減少によるものであり、2030年には特に深刻な人手不足が予想されます。産業別に見ると、医療福祉や小売などのサービス業、製造業などは労働供給と需要のギャップが年々開いていく傾向にあります。また職種別で見ると、医者や裁判官などの専門職、人事や会計などの事務従事者、また白井さん自身が携わっている営業に関しても人手が不足してくるとのこと。

このような状況下で、リファラル型といった新しいアプローチが増えつつあるものの、採用マーケティングはまだまだ従来のプッシュ型に依存しているのが現状であると、白井さんは指摘します。求職者に見つけてもらうことはもちろん、どういったコミュニケーションを取って母集団を形成していくかが重要なのだそうです。

採用強化のためのコミュニケーション

それではどのようにしてコミュニケーションを取っていくのか。日本語で文章を書いて発信するだけなら誰でもできることですが、闇雲にコミュニケーションを発信するのではなく、戦略を立てて目的を整理したうえで発信していくことが成功につながると白井さんは言います。

オウンドメディアがもたらす好循環

採用強化のためのコミュニケーションは、単なる情報発信ではなく、戦略的なアプローチが必要です。オウンドメディアを中心としたコミュニケーションは、求職者に対してはもちろんのこと、社内においても理想的なサイクルを生み出します。「会社の方向性や社員の活躍が見えるようになることから働きがいや誇りが生まれ、従業員の意識向上や行動変化を促し、サービスの価値提供を通じて顧客に感動が生まれファン化し、またそれが従業員に浸透するという好循環が生まれるのです」と白井さん。その具体的な事例をご紹介いただきました。

画像1: 採用強化のためのコミュニケーション

事例:ソウルドアウトグループ リクルートサイトと自社運営メディア

まず白井さんは、自ら所属するソウルドアウトグループの事例を紹介しました。

ソウルドアウトグループは「中小・ベンチャー企業が咲き誇る国へ。」というミッションを掲げ、理念共感型の採用活動を展開。オウンドメディアのインタビューコンテンツやSNS等による発信を通じて共感を獲得することで、双方のミスマッチを防ぐことにも成功しています。

またリクルートサイトの別軸として、転職系のメディアをマイナビと共同で運営中。元Wantedly部長などの専門家の協力も得て、さまざまなコンテンツを発信しています。

画像2: 採用強化のためのコミュニケーション

事例:大手電機メーカー 社員取材コンテンツ

続いて白井さんは、実際に手掛けた事例として某大手電機メーカーの事例を紹介。同社はその規模と歴史ゆえ、ともするとレガシー企業と捉えられてしまうという課題を持っています。そこで、異業種から転職してきた社員のインタビューコンテンツを通じ、良い意味でのカルチャーショックを受けたという話や、意外とスタートアップ的な思考があることなどを伝えることで、企業のイメージ改善と求職者とのコミュニケーション強化を図っています。

このように採用強化のためのコミュニケーションは、企業の強みやメッセージを明確にし、戦略的に設計して展開することで、効果的な採用活動を実現するのです。

採用マーケティングでは、上流の設計が重要

講演の終わりに白井さんは、一般的なマーケティングと採用マーケティングの大きな違いを話されました。一般的なマーケティングにおいては、手法論から入ってもある程度の成果が期待できるのに対し、採用マーケティングに限っては手法論やコンテンツ作りから始めるとなかなか成功しづらいとのこと。上流の設計をしっかりと行い、ブランディングや長期的なメディア運営を含めた戦略を構築することが重要であり、そのような提案をしていきたいと話して講演を終えられました。

前回のセミナーレポート

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