前後編に分けてパブリックDMPとプライベートDMPを無料で比較検討できちゃうお得なワークショップ。今回は、日本最大級のパブリックDMP「AudienceOne®」を提供する、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下DAC) メディアソリューション部の西橋 誠 を講師に迎えて、DMPを基軸としたマネタイズモデルについて語っていただきました。
『データを活用したマネタイズモデルの現状と今後について』
媒体社(メディア)の憂鬱とは
「デジタル広告のメディアレップビジネスを生業とするDACは、様々な企業様や媒体社様の課題解決に取り組んでいます」と西橋さんは講義の口火を切りました。
西橋さんによれば、メディア運営者の多くは、
・広告在庫の不足
≒メディアのトラフィック、オーディエンス数の不足
・曖昧な自社ユーザー像
メディアを訪れてくださるユーザーの嗜好やペルソナがはっきりしないので、コンテンツの作り方や方針が定まらない
・新たな収益源の模索
バナーなどのいわゆるディスプレイ広告が運用型(注1)にシフトしているので、収益力が落ち、他の収益源を確保する必要に迫られている
という3つの課題を抱えているといいます。
これに対して、DACではデータを活用した新しいビジネスモデルを提案している、と西橋さんは言うのです。
メディアが行うべき新しいビジネスモデルとは??
データを活用した新しいビジネスモデルとは一体なんでしょう。
西橋さんは、今後メディア運営者がとるべき施策(ビジネスモデル)を、以下の3つに整理して説明しました。
A) 外部在庫を活用した広告商品開発(PTD)
B) オーディエンスレポートの開発/提供
C) データ販売による広告主のマーケティング支援
まずAについて説明します。
外部在庫を活用した広告商品開発=PTD(Publisher Trading Desk)とは、一般にパブリッシャートレーディングデスク、と呼ばれるビジネスモデルです。
簡単にいうと、まず自社のメディアに訪れたユーザーの情報を解析し、性別や大まかな年齢層、どのような興味関心があるかなどをデータ化します。そのうえで、ユーザーが他のサイトを訪れた時に、彼らに最適にパーソナライズされた広告を配信するのです。
つまり、自社サイト(内部メディア)で広告を見せるのではなく、他社サイト(外部メディア)に広告を配信するという手法になります。言い換えると、メディアが自社のユーザーデータを活用して、他のサイトに広告を配信するサービスを提供することによって、広告在庫の不足を補えるわけです。
次にBですが、 自社メディアを訪れるユーザーの情報を解析することで得たデータを、個人特定ができない形にした上で、広告主にレポートとして定期的に提供することで対価を得る、というモデルです。
そしてCは、 上記で生成したデータをレポート化するだけでなく、マーケティング支援のソリューションを提供するモデルになります。
これら3タイプのビジネスモデルは、読者の皆様にはもうお判りのことと思いますが、すべて訪問ユーザーの情報を解析することで得た「データ」を活用してマネタイズを図る手法です。これが西橋さんのいう”データを活用したマネタイズモデル”であり、このマネタイズモデルを実現するために絶対必要なモノこそ、DMP(データマネジメントプラットフォーム) なのです。
DMP(データマネジメントプラットフォーム) とはなにか
それではDMPとはいったいなんでしょう。
簡単にいうと、ユーザーに関係するデータを一元的に集約して管理するプラットフォームです。サーバーに蓄積されるビッグデータやログデータなどを分析し、広告配信やマーケティング支援などに活用するために用いられるものです。
また、DMPには大きく分けて、プライベートDMPとパブリックDMPの二つがあります。
そもそも”データ活用によるマネタイズ”を考えるうえで、データそのものも二つに大別されます。
自社で獲得し、保有するデータ(1st Party データ)と自社以外の外部のデータ(3rd Party データ)の二つがそれです。つまり、DMPも
【プライベートDMP:1st Party データを管理】
自社メディアの訪問ユーザーのデータを管理するためのDMP
【パブリックDMP:3rd Party データを管理】
自社メディア以外の外部のユーザーのデータを管理するためのDMP
の、二つに区分されるということになります。
DMPを使うことで、自社サイトを訪れるユーザーのプロファイリングを行うことが可能になります。例えばコミュニティやECのようにユーザーにログインをさせることによって、メールアドレスや生年月日などの具体的な情報を取得すれば、ユーザーのペルソナをより明確に知ることができるようになります。その意味でプライベートDMPは、大きなトラフィックを獲得し、多くの訪問者を抱えている、巨大メディアの運営者に向いていると言えます。
逆にまだそれほど大きなトラフィックもなく訪問者も少ない場合は、サンプルとすべきユーザー情報量が十分ではないので、パブリックDMPを導入することで、外部データを活用するほうが良いと言えます。
ちなみに、DACが提供するAudienceOne®は、基本的にはパブリックDMPの範疇になると西橋さんは説明されました。
「AudienceOne®は、約4.8億ユニークブラウザー分のクッキーデータを保持しており、日本最大級のパブリックDMPです」と西橋さん。「パブリックDMPを使う、つまり3rd Partyデータ=外部データを使うことで、初めてサイトを訪れたユーザーであってもある程度どんな人か推測することが可能です。つまり、十分に1st Party データを取得できていない小規模のメディアを運営しているのであれば、パブリックDMPを利用するほうがメリットが大きいと考えます」
プライベートDMPを開発・提供するシーセンス株式会社 江川社長が講師。 【DMPを理解しよう! 後編】
今回は主にパブリックDMP導入のメリットが多く語られましたが、ではプライベートDMPを率先して導入することでどんなメリットがあるのかも知りたくありませんか?
後編のワークショップでは、最先端のデータ活用ソリューションで新たな市場を開拓する、北欧発グローバルテクノロジーカンパニー、シーセンス株式会社の最新情報をお届けします。
プライベートDMPを開発・提供するシーセンス株式会社 代表取締役社長の江川亮一さんをお招きし、DMPをさらに理解してしまおうという企画です。テーマは『デジタルビジネスにおけるトレンドと今後について』です。
パブリックDMPとプライベートDMPの違いをもっと勉強しながら、両者の良いところと相互連携することのメリットなどについても理解していきましょう。
後編のレポートは、近日公開予定です。