デジタルマーケティングの重要性とオウンドメディアの必要性
ここ数年、メディア総接触時間の内訳は急速にモバイルにシフトしています。特に若年層のモバイル活用率は圧倒的です。さらに、ソーシャルメディアや、SmartNews/Gunosyといったアグリゲーションサービス上でのコンテンツ消費が増加するなど、インターネットの情報収拾においても多様化が進んでいます。
このようなメディアのデジタルシフトに伴い、マーケティング手法のデジタルシフトも急速に進んでおり、2016年時点で3,288億円だったデジタルマーケティング市場は、2021年には4,605億円に達する(IDC Japan株式会社調べ)とされている非常に有望な市場です。
リボルバーでは、そのデジタルマーケティング市場の中でも、コンテンツマーケティング領域を軸に事業を展開しています。そして、コンテンツマーケティングを行う上でハブとなってくるのがオウンドメディア。良質なコンテンツを蓄積する、重要な拠点となります。
オウンドメディアを軸としたコンテンツマーケティングは、具体的には下の図のようなマップにまとめることができます。
まず、SEO/SMOやプロモーションにより潜在顧客を獲得したのち、オウンドメディアでオーディエンスに合わせた良質なコンテンツを配信することで、ファンの醸成を行います。さらに、ソーシャルメディアへの拡散や通知によるプッシュ等を重ねユーザーの質と量をともに向上させつつ、広告やECなどによるマネタイズによって、顧客の顕在化をすすめます。くわえて、蓄積したデータを元により精度の高いターゲティングを行い、潜在顧客の母数を拡大していくことで、PDCAを回します。
リボルバーでは、パブリッシングプラットフォーム『dino』のコアプロダクトであるメディア専用クラウドCMSを中心に、上記を一貫して構築・運用できる提案を行なっています。今回のゲストであるライスカレー製作所さまは Instagramマーケティングのプロフェッショナルですが、『dino』にて構築したオウンドメディアとInstagramを連携させるためのパートナーとして、ご一緒させていただいております。
では、なぜInstagramなのか?また、ライスカレー製作所の強みとは?大久保さまに伺いました。
ライスカレー製作所が実現するInstagramマーケティング
ライスカレー製作所では、Instagramを中心としたマーケティング全般を取り扱っています。また、そちらに関連して、自社メディア事業やインフルエンサーをプロデューサーに迎えたファション事業も展開なさっています。
Instagramと聞くと女性系商材が多いイメージがありますが、ライスカレー製作所で運用するアカウントは、インバウンド系や医療、商業施設案件など多岐にわたるそうです。
企業のInstagram活用が増えている理由は?
国内のInstagram利用者は現在約2000万人で今後さらなる増加が見込まれており、他媒体を凌駕する成長率を見せています。くわえて、Facebookの仕様変更(*)により、Facebookページの投稿をオーガニックにリーチを伸ばすことが難しくなっていることも相まって、Instagram活用企業が増えています。
*Facebookユーザーのフィードは、ユーザーの行動を元に表示される投稿が最適化される「ハイライト」と、完全時系列の「最新情報」の2パターンから選択できますが、デフォルトは前者に設定されており、ほとんどのユーザーはそちらを利用しています。近年、その「ハイライト」に表示される投稿のうち、Facebookページによる投稿よりも友人の投稿を多く見せるようなアルゴリズムの変更が進められています。
では、TwitterやFacebookとInstagramの違いや、活用すべき意義はメリットはどのようなところにあるのでしょうか?大久保さんは3つのポイントにまとめて解説しました。
1. ビジュアルベースのプラットフォームである
「最も大きな違いは、画像・動画で感覚的に情報を訴求できる点です」と大久保さん。また、「フォロワー数が増えるほど、高クオリティ"だけ"の写真では弱い。ユーザー特性をうまく汲み取って、最適なコミュニケーションを構築していくことが重要」と続けました。
2. 「タグる」という有望な検索経路として確立している
さらに、Instagramの利用方法として、特に若年層や女性を中心に検索経路としても多く活用されているところは注目すべきポイントと言えます。従来は「ググる」と表現される検索エンジンを利用した情報収拾が一般的でしたが、近年は「タグる」という方法が大きく普及しています。Instagramの投稿に含まれるハッシュタグを同アプリ内で検索するというものです。
大久保さんはユーザーの特徴的な行動の一例を次のように挙げました。「たとえば、気になるホテルの関連ハッシュタグをInstagramで検索して、利用者によるリアルな写真・動画・感想を集めてから、公式サイトをググって予約するといった行動が多く見られます。公式に発信されている情報ではわからないリアリティを発見することができるため、若年層のトレンドとなっています」
3. 態度変容を促す効果が高い
Instagramの投稿をきっかけに、検索・店舗来店・商品購入をしたことがある人は、実に70%以上にものぼるそうで、態度変容を促す効果が非常に高いことがわかります。大久保さんは「理由として、動画や写真と紐づいているため、ユーザーが自分ごと化しやすいと考えられます」と分析。
さらに、最近はInstagram上から直接商品購入ページに遷移できる「ShopNow(*)」機能が追加されたため、EC利用者も増えています。
*2018年6月に日本上陸した新機能。投稿に紐づけた商品タグをタップすると、自動生成されたInstagram内の商品一覧ページに遷移します。さらに購入ボタンを押すと設定された外部サイト(自社ECなど)に飛ぶ仕組み。企業アカウントであれば誰でもショップ申請が可能です。
以上の3点のポイントからもわかるとおり、Instagramは下記図のように、認知獲得から購入させるだけにとどまらず、ファン化から拡散まで一気通貫、さらに認知を広げていくという良質なファンマーケティングが可能な媒体であると言えます。
ライスカレー製作所ならではの事例
Instagramマーケティング領域におけるライスカレー製作所の強みは「豊富な経験に基づく多彩な企画立案力」と語る大久保さん。
「同業種でありがちなのが、単に写真撮影代行・投稿運用代行している企業ですが、それでは不十分です。企業やメディア、サービスの"世界観"をアカウント上で体現していくことが重要であるため、ニーズに合わせた企画立案と設計のカスタマイズは欠かせません。ライスカレー製作所ではアカウント運用の継続率90%を達成していますが、このことからもおわかりいただけるように、単なる代行業務ではなく、クライアントとの繋がりを密にすることに成功しています」
リボルバーとの取組事例
現在リボルバーにてご一緒させていただいてる案件のひとつに、「@ALittleHonda」というアカウントがあります。当該アカウントは、国産オートバイの大手メーカーHondaの魅力をより広い層に伝えるべく、ロレンス(*)を中心に発足したアカウントです。
Hondaに関するさまざまな情報をご紹介するエンタメWebメディア「A Little Honda」と連携しています。
*ロレンス(Lawrence)とは、モーターマガジン社・ゴルフダイジェスト社・リボルバーの三者により設立されたデジタルコンテンツ制作会社「MGロレンス」が運営するWebメディアです。バイクとクルマを軸に、男性向けのエンタメ・ライフスタイル情報を発信しています。
こちらのアカウントでは、「#ALittleHonda」というハッシュタグをつけて自身のHonda製の愛車を投稿してただいた一般ユーザーの中から、運営チームにて厳選し投稿をリポストしています。投稿にはユーザーさんにヒアリングした愛車との思い出などの定性的な情報を加えることで、コンテンツとしての質を高めるとともに、他の類似アカウントとの差別化を図っています。
すでにオーガニックにフォロワーを集めることは難しくなってきているInstagramですが、当該アカウントは開始2ヶ月で(広告を使わずに)1,000フォロワーを突破しており、なおかつ通常をはるかに上回るエンゲージメント率を記録しています。
「考えられる要因として、Instagramアカウント運用で重要な"アカウント内での世界観を統一すること"に準拠した設計と運用の結果ということはもちろんあります。さらに、そもそもバイク好きの方々は同質性が高いという特徴も相まって、"共感しやすい場所"をつくりあげることができたと考えています」と述べる大久保さんは、「A Little Hondaアカウントは、かなり順調にスタートができていますが、通常成果を上げるためには半年以上など長いスパンが必要です。1ヶ月など短期の場合は、ハッシュタグキャンペーンなどをおすすめしています」と付け加えました。
今後ますます必要性が増してくるInstagramマーケティング。ビジュアルベースであることと、ユーザーとのコミュニケーションが欠かせないことから、企業内での運用は担当者の負担が大きく継続が難しくなってしまうケースも多くあります。しかしながら、大久保さんのおっしゃるとおり、ソーシャルメディアの運用は、根気強く継続することが必須です。
そういった意味でも、ライスカレー製作所のようにアカウント設計から提案してくれる企業は強力な味方となります。
A Little Hondaのみならず、今後リボルバーとライスカレー製作所ではさまざまなアカウント運用を展開予定です。今回の事例のような実績をさらに貯蓄し、ノウハウとして活かしてまいります。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。そしてライスカレー製作所・大久保さんはじめスタッフのみなさま、今後ともよろしくお願いいたします!