まだまだあるAI活用。夢があるアート分野!
次にご紹介いただいたのは、認識と合成能力を活用したAdobeの「Project Puppetron」。
同社の絵描きが苦手なエンジニアが、自分の顔をアーティスティックにしたいという発想から生まれたこちらのシステムは、顔写真をアップロードして、好みのテイストのイラストを選択すると、その参照元のイラストと同じテイストで顔写真を加工してくれるというものです。2018年11月時点では商品化に至っていないものの、とても楽しい取り組みです。
(気になる方は、ぜひAdobe MAX 2017でのデモンストレーションをご覧ください)
同様に、Microsoftが中心のチームが発足した「The Next Rembrandt」(次のレンブラント)なる驚きのプロジェクトにも注目したいところです。なんと、AIにレンブラントの絵画を学習させて贋作習作を作成し、3Dプリンタを活用して油彩の起伏まで忠実に再現した作品を作り上げています。
Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラムAlphaGo(アルファ碁)がハンデなしで、人間の囲碁の達人との勝負に勝利したというニュースが話題となったことも記憶に新しいですが、林さんは、AlphaGo Zero(アルファ碁ゼロ)はその後さらに進化していると話します。
「ルールだけを学習させ、人間の対局データを使わずに完全に自己対局のみで学ばせたところ、もはや人知の及ばない域まで到達してしまったんですよ」
人間の仕事はAIに奪われてしまうのか?
さて、ここまでAIにまつわるさまざまな最新情報を林さんからお聞きしました。AIが関与する世界は今後益々増えそうです。
医療の分野でもそうです。例えば、医師が手術中に使用する輸血量は、いままで経験と勘で用意されることが多かったのだそうですが、AIの登場により、いまでは出血した被手術者の血を拭いたタオルを元に、必要な輸血量をAIが算出できるようになっているそうです。
クリエイティブな世界でもAIの活躍は顕著です。例えば宣伝用の映画ポスターを作成するときも、AdobeのAI技術「Adobe Sensei」が搭載されたアプリケーションを使えば、高度な画像認識によってたちどころに素晴らしいデザインができあがるとのこと。
背景と人間を馴染ませる色味調整なども、一度AIに学習させてしまえばそのあとは自在に応用してくれるそうです。
こうみていると、AIは全知全能。人間でなければできないことなどなくなってしまいそうですが、果たして人工知能に無縁の業界は存在するのでしょうか?
「だからこそ、これからは人間性が重要になってくるんです」林さんはそう前置きした上で、次のように述べました。
「能動的な仕事はなくなりません。人間が欲しいものに対して、作業・労働を担当するのがAIです。課題を解決するのがAIであれば、人は問い(課題)を設定する役割を担うべきなんです」
今後もさらなる進化を続けるIT技術。それらに代替される役割がたくさん存在することは間違いありません。人間に求められるのは、それらを使ってなにをどう展開したいのか?を常に考え続けることなのだと、林さんのお話を聞いて強く感じました。
次回は2018年12月20日!
次回のワークショップは、ゲスト講師に株式会社Warranty technologyの成瀬 功一郎氏をお迎えします。テーマは「現代の「武芸」とも言えるITスキルを極めて生産性3倍UP 〜G-Suite(Gmail、Gカレンダー等)の本当の使い方〜」です。くわしくは下記からご確認ください。