村尾 慶尚
株式会社シャノンのマーケティング責任者。「SHANON MARKETING PLATFORM」を自ら活用してマーケティング課題を解決中。年間約75回の自社ウェビナーを開催し、1万人以上を集客している。
株式会社シャノンは、マーケティングクラウドの提供や関連するコンサルティング・アウトソーシングの企画・開発・販売を行う企業です。主に独自開発のクラウドアプリケーション『SHANON MARKETING PLATFORM』を通じ、企業のマーケティング活動を支援しています。
今回お話しいただいた村尾さんはマーケティング部門の責任者として、自社サービスの特徴やマーケティングオートメーション(MA)の活用術などを、自社開催のウェビナーを通じ発信してらっしゃいます。その数、なんと年間約75回。のべ1万人以上集客するほどの人気を集めており、今回のワークショップでもその実力の一端を伺うことができました。
これからビジネスウェビナーの開催を検討している方も、現在の運用に課題を感じるという方もぜひご覧ください。
コロナ禍で変容してきたウェビナーの環境
ウェビナーとは?
そもそもウェビナーとは、ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を合わせて作られた造語で、インターネットを介して開催されるセミナーのことを指します。新型コロナウィルスの影響やリモートワークの浸透により、マーケティングや営業活動の一環として活用する企業が増えており、新たなビジネスチャンスを作る手段として定着しつつあります。
そこでシャノンでは、ウェビナーに関するアンケートを実施。その結果、ウェビナーを取り巻く環境の変化が明らかになったそうです。そこには開催するメリットだけでなく、オンラインならではの課題も見えてきたと村尾さんはいいます。
では早速、アンケート結果を踏まえて解説していただきます。
ウェビナー視聴者の傾向と、今後の課題
調査の対象は、企業でサービスや製品を導入する際に情報収集や選定に関わる20歳以上の男女約800名。新型コロナウィルスが流行した2020年、そして2021年の調査結果をもとにお話しいただきました。
まずはじめに、Q. ウェビナーを視聴する頻度について という問いに対して「2020年と比較して2021年は増えた」と回答する割合が、全体の約70%を占めていました。ウェビナーの開催が増えていることや、オフラインでの情報提供の場が限られていることが数字に現れているようです。
続いて、Q. ウェビナーの参加経緯について という問いに対して「(会社からの勧めではなく)自発的に参加した」と回答する割合が、2020年の約37%から2021年は約50%に増加。主にセミナーの代替品として参加していたウェビナーに、次第に情報収集の場として自発的に参加する人が増えてきたことがわかります。
また、Q. ウェビナーへの参加人数についてという問いに対しては、2020年と2021年比較すると、上司や同僚と共に参加するのではなく、ひとりで参加する割合が増えている傾向。この結果は、参加のしやすさという特徴を表している反面、開催側にとっては売上に直結しづらい要因としても読み取ることができる、と村尾さんは解説します。
続いてQ. ウェビナー参加のメリットについての問いに対しては「移動がないので物理的に参加しやすい」という回答が最も多く、続いて「アーカイブ動画で後日視聴ができるので便利」「対面よりも気軽に質問できる」という回答が挙がりました。
リアル開催セミナーの代替という位置付けにとどまらず、ウェビナーそのものの利便性が評価され、新しいビジネスの接点として活用されていることが、この結果からわかります。
一方 Q. ウェビナー参加のデメリットで最も多かったのが「ながら視聴になりがちでまとまった情報収集ができない」という回答。オンラインという便利さ故に、音声だけ聴いて他の作業をすることが多いようで、この結果についつい頷きたくなる方も多いのではないでしょうか。
ウェビナー参加者の〝ながら視聴〟を防ぐためには、使用する資料を工夫したり、画面越しに大きく手を動かしたりして、参加者の注意を引き続けることが鉄則だと説く村尾さん。身振り手振りを交えながら話すその姿はまさにこの鉄則を実践しており、「さすが!」という印象でした。
以上がウェビナーを視聴する側のアンケート結果でした。対して、ウェビナーを実施する企業へのアンケート結果も取り上げていただきました。
ウェビナー実施企業の最新状況
調査の対象は、企業のマーケティング部門に携わる約100名の社員。 Q. ウェビナーにいつから取り組んでいるか? という問いに対し、新型コロナウィルスが流行する2019年以前からと答えたのが全体の約7%、2020年からと回答したのが約59%、2021年からは約8%という結果となりました。
2020年頃からウェビナー開催が劇的に増えた印象がありますが、アンケート結果もそれを裏付ける形となりました。セミナーが開催できなくなってしまったために「なんとか形にしよう」と急いでウェビナーを開催した企業が非常に多いようです。
ウェビナー開催は2020年以降飛躍的に増加した一方、その存在自体はまだ歴史が浅く、どの企業も試行錯誤を繰り返しながら開催している、と村尾さんはいいます。
そこで求められるのがマーテクのチカラ。ワークショップ後半では、平均週2回・年間約75回自社ウェビナーを開催するプロの経験と知識を〝オウンドメディアとの組み合わせかた〟という視点から、ご紹介していただきました。