Netflixは定額型動画配信サービス市場において世界最強の企業ですが、そのビジネスモデルや強みを盗むことはできないものでしょうか?出版業界のNetflix、ソフトウェア業界のNetflixのような存在になれないものでしょうか?(そして当社はそのお手伝いをどのようにさせていただけるでしょうか)

サブスクリプション型モデル+オリジナルコンテンツ力で世界を席巻するNetflix

Netflixが値上げしましたね。

  1. ベーシックプラン(SD画質・同時1画面)
    650円→800円 (税込864円)
  2. スタンダードプラン (HD画質・同時2画面)
    950円→1200円(税込1296円)
  3. プレミアムプラン (4K UHD + HDR画質・同時4画面)
    1450円→1800円 (税込1944円)

消費者からのクレームもあまりないようで、実にスムースにこの値上げは受け入れられていくようです。レッドオーシャン(経営学の用語で、血で血を洗うような激しい価格競争が行われている既存市場のこと)であるストリーミング動画サービス業界にあって、この自信、この強者ぶりは実に清々しいことです笑。

ざっくり動画配信サービスを区分けすると、以下の表のように、

  • SVOD(定額・配信)
    月額費用を払ったら見放題
  • TVOD(都度課金・配信)
    見たいコンテンツに対して都度支払い。いわゆるPPV(ペイバービュー)
  • EST(買切り・ダウンロード)
    CDやDVDを買うように、コンテンツを購入してデバイスにダウンロード
  • AVOD(広告付きで無料・配信)
    無料で観られるけれど広告も見なければならない
SVODTVODESTAVOD
Subscription Video on Demand
(定額制動画配信)
Transactional Video On Demand
(都度課金型動画配信)
Electronic Sell Through
(ダウンロード動画販売)
Advertising Video on Demand
(広告付動画配信)
Netflix、Hulu、Amazon PrimeなどiTunes Store、Google PlayなどAmazonビデオなどAbemaTV、YouTubeなど
インターネット動画配信サービス種類まとめ

といった区別があります。

EST以外は動画ダウンロードサービス、そのほかは動画ストリーミングサービスということです。

NetflixやHuluは100%ピュアなSVOD、つまり月額料金を支払えば全て見放題(サブスクリプション型)だし、ダウンロードではなく完全なストリーミング(ネット配信)で観られるタイプですが、それ以外のサービスは、基本は定額なんだけど(最新映画の先行ロードショーのような)特殊なコンテンツによっては都度課金もある、というようにハイブリッドなスタイルのところもあります。

僕から言わせると異なるビジネスモデルを混ぜるハイブリッド戦略は単に消費者におもねっているだけで、やがて衰退するはずです。逆にいうと他者に追随せず、SVODに徹している頑固さがNetflixの凄みです。

実際、Netflixがあまりにも強くなりすぎて、ディズニーなど既存の動画制作スタジオや配給会社は(映画館やCATVなどを中心に配給していた)自社コンテンツをNetflixに提供しない方針をとりつつあります。ディズニーは20世紀フォックスの映画コンテンツを手中に収めることに成功しました(ということは今まで大人の事情でアベンジャーズと世界観を分けていたフォックス系のマーベルコンテンツ『X-MEN』『デッドプール』もディズニーの傘下になるということです!)。
優れたコンテンツの囲い込みに走ると同時に、そこからNetflixを締め出すという戦略で、Netflixを叩き潰そうとしているのです。

それに対抗してNetflixは既存コンテンツを買うのではなく、自分で作る、つまり自社のオリジナルコンテンツ制作に力を入れ始めており、制作スタジオとしても急成長しています。

今後、既存のプレイヤーが続々とSVOD化していくことになりますが、いまの様は、まるで戦国時代に織田信長(Netflix)が台頭する中で、足利義昭と旧勢力である守護大名たちが結託して対抗しようとうごめいた様子に酷似していると思います。果たして、Netflixはディズニーら旧勢力との戦いに勝利することはできるでしょうか。実にスリリングでエキサイティングな戦いが始まっています。

出版業界のNetflixは登場するか?

さて、本題に入ります。

最近、出版社のトップや編集者の方々とお会いすることが多く、過去20年間で市場規模が半分になってしまった出版不況が、収まるどころかますます悪化しているというお話をよく伺います。

紙の雑誌が売れない、というのは今に始まったわけではないので、出版社の方々ももちろんこれまでさまざまな対策を講じています。例えば電子出版によりPDFでの雑誌販売、例えばWebメディア化によるネット広告事業への参入、などです。

ただ、残念ながらタブレットならいざしらず、A4以上の大きさの雑誌サイズに最適化されたレイアウトをPDF化しても、読み手の多くはスマホを使っており、小さすぎて読みづらい。しかも見開きレイアウトを多用する雑誌を快適に読むにはスマホを縦にしたり横にしたり動かさなければなりませんが、そんな不都合を読者に強いていては自然に嫌がられることになります。電子書籍型の雑誌も売れなくなるのは当たり前です。

ではWebメディアはどうか、というと、紙の雑誌との片手間であるので、コンテンツの充実が遅れたり、紙雑誌の作法を持ち込みすぎて形だけはWebメディアにしているものの、SEO対策やモバイル(SMO)対策などを講じることもなく、なかなかうまく移行できずにいる出版社も多く見られます。さらに紙の雑誌のビジネスモデルは、有料課金 with 広告 であるのに対してWebメディアは無料+広告です。収入源を広告にだけ頼る形になっていますが、紙の落ち込みをカバーするだけの売上をそうそう簡単に成立させられるわけでもないわけです。

我々のクライアントにも出版社の方々が多くいらっしゃいますが、幸いにして、メディアそのものの成長については順調なお客様が多い。技術面では常に最先端の機能を提供し、市場環境にも適応できるようサポートをさせていただいているし、紙ではなくWebに最適なコンテンツ作りに短期間で習熟いただいているからです。

しかし、それでも本業である紙の雑誌の販売状況がいかにも悪いので、広告モデルの進化を早めると同時に、よりダイレクトで強力な収入源を確保したい!と願われるクライアントが多いのも事実です。

ここで多くのクライアントから問い合わされるのが、コンテンツの定額有料販売、つまりサブスクリプションサービスの実現に関してです。

雑誌は基本的に有料です。なのにWebメディアは無料、というのはフリーペーパーと同じビジネスモデルになっているわけです。そこで本来の自分たちのビジネスモデルである、有料課金 with 広告 をオンラインで再現することの重要さを考え始めたのです。

Webメディアにおいて、有料会員に対してのみコンテンツを公開するモデルをペイウォールと呼びます。

米国では大抵のドラマはCATVなどと契約して閲覧する、サブスクリプションモデルが当たり前で、Netflixらはそれをインターネット経由でやっているだけとも言えますが、日本においてはWOWOWなどの有料コンテンツ配信テレビ業者は存在するものの、基本的にテレビは無料、という認識が消費者にはあります。しかし、それでも日本市場においてもNetflixやHuluの存在感は日に日に増しています。

逆に言えばそもそもコンテンツを買うことが当たり前であった雑誌(や、もちろん新聞)の有料購読型のオンライン化は、テレビ対抗よりはよほどやりやすいのではないか。少なくとも数年前には不可能と思えたものの、いまなら十分に挑戦できる環境になってきているのではないでしょうか。

いうならば、出版社におけるNetflix。
定額課金でコンテンツを読んでもらう、サブスクリプションモデル。いわばSCOD(Subscription Content On Demand)。雑誌というものは、基本的に定期的に発行されるので一週間なし1ヶ月といった固まった期間の中で作成された(ページ数で規定された、定数・定量の)コンテンツを、一気に放出します。放出しますが、読者が得るコンテンツ量としては一定です。
ペイウォールに挑戦するのであれば、↑この方程式を逆算する必要があります。つまり、月額でサブスクリプションとするならば、月刊誌一冊で提供するのと同じだけの質・量を担保したコンテンツを30日で割って提供すればいいのです。

読みたいコンテンツだけを買うことができるようにする、つまり都度課金型のコンテンツ販売もありえますが、僕はそれはやめたほうがいいと思っています。
理由は二つ。一つ目は、NetflixがピュアなSVODであり、都度課金には手を出していないのと同じで、定額課金のほうが集めやすいからです。また定額課金に都度課金を混ぜるのも(Netflixがやっていないように)無駄なオペレーションが増えるのでやめるべきと考えます。
もう一つの理由は、コンテンツとして割高な提供となるからです。例えば一般的な月刊誌であれば1冊数百円から千円程度でしょう。先ほどの方程式に鑑みてもらいたいですが、1つのコンテンツで課金するとき、定額の月額と比べて釣り合わない値付けになりがちです。それは定額の価格に対する正当性を失わせることになりかねないし、逆に都度課金の価格の高さを実感させることになりかねないと僕は考えます。

課金できるほどのコンテンツを作ることは難しいです。

しかし、多くの出版社では、そろそろその聖域に踏み込む勇気を固め始めたところも出始めているようです。ペイウォールモデルの採用、サブスクリプション型Webメディアへの参入。古くて新しいこの課題、我々としては必要不可欠なバイプレイヤーとして共に挑戦させていただきたいと考えています。

出版業界のNetflix。
一番乗りしたいのはどのお客様でしょう??

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