コンテンツ不足に直面し始めているパブリッシャー
在宅者の急増≒テレビ視聴者の増加、と考えると、テレビ広告の復権基調につながるのでは?と思いがちですが、実際には人々が買い物に出かけない以上、それこそ不要不急の消費は増えません。つまり、広告主も広告を出そうというモチベーションも上がらないわけです。
また、東京オリンピック・パラリンピックが延期になったおかげで、夏期のテレビ放映枠はすっぽり空いてしまっています。この分のコンテンツを作ろうにも、今のご時世、なかなかロケに出かけることやスタジオ収録のために人を集めることもできないので、なかなか良いコンテンツを揃えることができない、という状況になっています。
テレビ局も、出演者を自宅からの中継に対応させる=在宅勤務wさせたり、立ち位置の間隔を大きく開けたり(いわゆるソーシャルディスタンス対応ですね)していますが、早々にコンテンツ不足に直面し始めているようです。
そのため、多くのテレビ局ではかつての人気番組の再放送や、それらのコンテンツを再編集することによって代替コンテンツを作って対応し始めています。要するに、過去記事の再利用です。
過去記事、つまり優良コンテンツのアーカイブをどれだけたくさん持っているかが、重要である、ということです。
その意味で、我々は、お客様に対してコンテンツをたくさん用意しておくこと、すなわちアーカイブを潤沢にしておくことの大切さを常々説いています。同時に、一度公開したからといって、全てのコンテンツの価値が古びて減じていくわけではなく、常に再利用できそうな過去記事を見繕うクセを身につけておくことが、良い編集者であると口を酸っぱくして繰り返させていただいているのです。
コンテンツの再利用や再編集の権利を保持し、いつでも再活用できることこそ、コンテンツマーケティング成功の鍵
コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなる潜在顧客(消費者であったり企業であったりします)が欲する情報を包含するコンテンツを制作し、そのコンテンツを彼らに最適なタイミングでお届けして、その結果ファンになってもらうことをゴールとするマーケティング手法です。
ファンになる=提供するサービスや商品、ブランドへのロイヤルティを持ってもらう、ということは全てのマーケティング手法のゴールですが、そのために、正しいコンテンツを作り、届け、消費是してもらうためのメソッドこそがコンテンツマーケティングであり、作ったコンテンツを蓄積し、アーカイブとして管理する場所がオウンドメディアです。
当社(リボルバー)は、コンテンツマーケティングの運用、もしくはコンテンツの集積場所である(オウンド)メディアの運営を支援するためのプラットフォームやソリューションを提供している会社です。
我々は、お客様となる企業・団体に対して、いついかなる時でも自社の都合でコントロールできるコンテンツを大量に持つことの重要性を常々訴えてきました。自社でコンテンツを制作し、蓄積していれば、それらをどう再活用しようが勝手です。逆に言えば、使いたいときに第三者にお伺い立てることなく使えるコンテンツを持っていることが、コンテンツマーケティングを有効化するための重要な条件なのだ、と我々は終始主張してきました。
つまり、コンテンツの再利用や再編集の権利を保持し、いつでも再活用できることが大事なことなのです(そのためには様々な形式で≒HTML、RSSなどのWebフォーマットで制作されていることが重要です)。
デジタルコンテンツの有効期限は相対性理論における時間のように伸び縮みすると心得よ
当社では、自社メディア運営時においてもそうですが、当社のプラットフォームdinoを使ってコンテンツを制作したりメディアを運営されるお客様に、いくつか定期的にメディア運営上のコツをご教示させていただいています。
例えば、「今年」とか「来月」といった時間や日程を示すうえでの表現をなるべく使わず、具体的に2020年4月●日、と書くべき、といったものです。Web上に流通させるコンテンツは、パブリッシャー都合(前述のように、再利用したい場合など)だけでなく、読者都合(たまたま検索で3年前の記事にたどり着く、ということも珍しくありません)で消費されることが多く、その際にその記事が実際には3年前のコンテンツなのに「今年の流行はコレ!」というように記載されていたとしたら、読者をうっかり騙してしまうかもしれないというリスクが発生します。読者を騙そうとする意識はゼロであっても、結果的にミスリードしてしまう恐れがあるのです。
当社ではそういうリスクを避けるために、その記事がいつ書かれたもので、その内容が指し示す日時がいつのことを意味しているのかなどを明確にするべきである、と考えているのです。
これはすべからく、デジタルコンテンツは雑誌や新聞紙などの旧来メディアと違って、同じメディア内で消費されるとは限らない(SNSやニュースアグリゲーターのアプリなどで見られているかもしれない)ので、日程を含むさまざまな(パブリッシャー側が期待する)論理の制限を受けないと考えるべきということです。また、そもそもデジタルコンテンツの賞味期限は制作した者が考えるより長いかもしれないし短いかもしれない、有効期限は相対性理論における時間のように伸び縮みするものだと予め考えておくべきだということなのです。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。