最近では起業することがファッション的というか、だいぶカジュアルになってきたと感じます。米国ほどではないにせよ、ゴールまでの道筋が明確化し、システマティックになってきたことでやりやすくなってきたということでしょうが。

起業が怖くなくなった2020年代

起業する、会社を作ること自体は簡単になってきました。今では(2006年の法改正以降?)資本金はたとえ1円であっても株式会社は作れるし(有限会社ってなに?という人も多くなってきたことでしょう笑)、大企業との取引も、だいぶハードルが低くなってきていると感じますし、久しぶりに行ったリアルの書店で起業本がめちゃくちゃ増えていることに驚愕もしました。

コロナ禍の不便さのトレードオフなんでしょうが、ベンチャー企業が結構な金額の融資申請を通したうえに 連帯保証なしに借入できたという声も聞きます(もちろん返済しなきゃダメですよ)
そして、たとえ失敗して(つまり考えた事業がうまくいかなくて)、倒産の憂き目にあったとしても、その経験を買われて次のステージに進むことが許されるようになってきているようです。

ちょっと前なら、起業や独立とは、万一倒産でもしたら≒破産≒一家心中や夜逃げ、みたいな悲壮な試み だったのに笑。

受け流せ?違うよ、受けてたつのさ

スタートアップ≒ベンチャー企業経営の艱難辛苦の実情を描いていると評判のWeb漫画がありました

確かに、心折れそうな出来事が次から次へと起きることは間違いないし、優秀な人材との出会いが少ないわりに 別れは多いように感じられてめげることはあるでしょう。

しかし、僕はここで言いたい。そもそも簡単に心折れるようなやつは、最初からベンチャーに来るな、興すなと。

いますよ、体壊したり、自ら命絶ったりする人。でも、少数です、そんな弱い起業家は。たいていは、嵐の中で笑っていられるタフで強い人たちです。
この漫画の主人公が直面する出来事(例えば苦労して採用した人材に辞められるとか、資金不足に陥るとか)を経験したことがない起業家はいないと思います。しかし、それでいちいちクヨクヨするような人もいない。逆風を受け流すしなやかさ、というよりは そんなことは関係ねぇ!とかえって胸を張る剛直な靭さと硬さを持ったタフな人が多いと思うのです。

だから、逆境に怖気づく人や、心折れるかもと心配になる人は、最初からベンチャー企業を興そうと思わない方がいいですよ。
正直、経営って、そもそも母体の大きさに関係なくタフなものだし、小舟で暴風雨の中に乗り出すような強い意志がなければ務まらないものですからね。

スタートアップ?ベンチャー?

ちなみに、最近では ベンチャーという言葉をあまり皆が使わなくなってきたようです。代わりに流行り言葉のように使われるのがスタートアップ、という呼び方。

スタートアップとベンチャーは違うの?といえば、答えはほぼ同じです。創業まもないベンチャー、あるいは、そういう会社を興すこと自体をスタートアップと呼んでいるのです。僕の感覚では、スタートアップとは創業5年くらいまで。それ以上過ぎたらスタートアップとは呼べないかな(ということは、リボルバーはスタートアップではありませんね‥‥)。つまり、ベンチャー≧スタートアップ なわけです。

要するに スタートアップとは、創業まもないベンチャーのことだし、動詞的に言えばイグジットを目指して(IPOがM&Aかを目指して)ベンチャー企業を立ち上げることを言うわけですが、上述のように、最近ではこのスタートアップがとてもクールな意味を持ち始めて、イケてる中小企業という意味に変わってきているようです。

しかし、スタートアップはベンチャーであり、いわゆる中小企業とは違います。「成長を目指すか、生存を目指すか」の違いだし目指すべきゴールがあるかないかは恐ろしく大きな違いになります。つまり、生きているだけで丸儲け的な、ハストラルな感覚の持ち主はベンチャーには向かない。偏執的に臆病(弱虫とは違います。猫科の動物などがそうであるように、危険に対して“過度に”敏感という意味です)で、野心的だったり攻撃的だったりする人のほうが向いています。よく起業家はソシオパスだったりサイコパス的性格が多いと言われますが、ある意味その通りだと思います。人を押し退けてでも自分が前に出たいと思うような人の方が生き残れやすいのは確かですから。

スタートアップ企業(オシャレで若くてイキがいいと感じるんでしょうね、ある意味その通りなんですが)で働くことはカッコいいと考える人は、自分の適性を一旦考え合わせることをお勧めします。スタートアップという言葉は、バズワード的に流行っていますが、本質は「暗闇で白刃振り回すような」狂気の世界であって、そこで生きるという闇雲なパワーと意志を持っていないとつらいだけ、もしくは上司に違和感や苦悩を与えることになりかねないです。

暗闇で白刃振り回した場合、敵を切り倒したり明るい場所に辿り着ける確率は、ある意味運の強さに比例するし、一撃喰らっても倒れない強さゴールデンカムイの不死身の杉元のようなタフさや、相手よりも速く強く刀を振り回せるスピードとパワーの、どちらか もしくは両方が求められます。少なくとも、かすったくらいでへこたれる人は向かないってことです。

イーロン・マスク@Twitterの下で働けるか?

その意味で、「週80時間働けるようなハードコアな者以外はいらない」と言い切ったイーロン・マスクに、心の奥底では『よくぞ言ってくれた!』と喝采している経営者は多いと思いますよ。日本では、働き方改革なる旗印の下で、法的にも倫理的にもなかなかマスク氏のような言葉を公に口にすることはできないと思いますが、本来ベンチャーというものはそういうもののはずなんです。イーロンさんも、常に80時間/週 働けと言ってるわけではなく、必要があれば、そのくらいやる覚悟を持てと言ってるのだと思いますしね。

そもそも論なんですが、ベンチャーという言葉は、なかなかに昭和的というか、24時間戦えますか的というか、どこかハードワーク礼賛のニュアンスがあるのかもしれません。
昨今ではベンチャーと言わず、スタートアップと呼称したがるのも、そうした泥臭い印象を払拭して、爽やかな感じにしたいがためなのかもしれません。

しかし、バラをなんと呼ぼうとバラはバラの香りがします(A rose by any other name would smell as sweet)。
同じくベンチャーをスタートアップとオシャレに呼び換えようが、ベンチャーはベンチャーなんだと思うのです。
ぶっ倒れるまで働くものだとは言わなくても、大企業と戦っても勝つ、勝てる要素は少ないからこそ、気迫とか根性で勝とうとする 非合理で半端な世界に生きるアウトロー集団であることは忘れちゃいけないんじゃないかなあと思うのですよ。

(あ、遵法精神は大事ですよ、もちろん。
だけど、気分的には自分たちは海賊であって、正規軍のように整備された環境への憧れはあっても、足りないところは 工夫と気力で補うんだという意志がなければやっていけない世界なんだということを忘れないでもらいたいんです。自分たちは大企業とも中小企業とも違う、ベンチャーなんだと思っていてほしいんです、それだけなんです)

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