瀧澤 優作
2017年、当時6人・創立3ヶ月のFireworkにジョイン。グロースマーケターとしてアプリサービスのグロースから日本支社設立を担当。入社4年で社員200名・グローバル5オフィスまで拡大。グローバルのグロースマーケティングマネージャーと日本マーケットの展開を担当。
「Firework」とは? (前回のおさらい)
『Firework(ファイヤーワーク) 』は、アメリカ発のウェブストーリーマネジメントプラットフォーム。InstagramやTwitter、TikTokなど各SNSで主流となっている縦型ストーリー動画を、あらゆるWebサイト(オウンドメディア・EC・企業サイト等)に設置することができ、動画の編集・管理、広告配信までをトータルで提供するサービスです。
前回のワークショップでは、「縦型動画を活用した媒体社動画DX & マネタイズ戦略のご紹介 〜Fireworkが提唱する動画マーケティング〜」と題して、SNSの台頭により多くのWebメディア(媒体社)が直面する問題をFireworkがどう解決するか、瀧澤さんに詳しく解説していただきました。
前回の内容を下記にまとめたので、まずはこちらをご覧ください。(詳細は前回のレポートをご参照ください)
Webメディアが抱える問題点と解決策
まず瀧澤さんは、多くのWebメディアが直面する問題として下記を提示しました。
いま多くのWebメディアが抱える問題点とは
- 一日の時間の多くをSNSに費やすユーザーが増え、可処分時間がWebメディアまで回ってこない
- SEO頼りの集客から脱却できず、再訪率の高いロイヤルユーザーを獲得できていない
- サードパーティCookieの利用制限により広告収益減が予想されているにもかかわらず、それを補う最適な広告フォーマットとメディア構造が確立できていない
- SNS上では個人の人気インフルエンサーが強い影響力を持っており、同じ土俵でメディア企業が戦うと膨大な時間とコストを要してしまう
これら問題点の中でも瀧澤さんがとくに重要視したのは、「SNSに多くの時間を費やすユーザーを、いかにWebメディアに誘い留めておくか」です。その解決策として提案されたのが、SNSで人気の縦型ストーリー動画を自社サイトに簡単に導入できるFireworkでした。
Fireworkを導入すると、下記のようなメリットが生まれると言います。
- 滞在時間の拡大
没入感のある縦型ストーリー動画で回遊率を高め、ユーザーの滞在時間を最大化する - ロイヤルユーザーの獲得
馴染みやすいスマホファーストのフォーマットにより、ユーザビリティを改善し、モバイル体験での差別化を図る - ブランドの確立
Webメディアの自体の価値を高めることで、マネタイズや集客の改善に貢献する
SNSの縦型ストーリー動画同様にスマートフォンで操作しやすく、スワイプで次々とコンテンツを視聴できること。現代のスマホネイティブ世代にとって当たり前であるこうした操作感・体験こそ、Webメディアに足りない部分であり、それを補うことでエンゲージメントの向上を、ひいてはサイト内回遊に繋げやすくなるというわけです。
さらにFireworkは、動画広告の配信システムも統合しているため、広告収益によるマネタイズにも貢献。オリジナル制作した広告動画に加え、Fireworkが提供するアドネットワークから広告を自動配信するなど、Webメディアとして簡単にマネタイズが行えるのです。
このようにFireworkは、利用するユーザーにとっては馴染みやすく、メディア運営社側にとっては優秀な集客・収益ツールであるといえるわけです。
さて、そんなFireworkですが、続々と新しい機能が追加されることでも注目を集めています。
今回のワークショップ【続編】では、その中から新機能である「ライブストリーミング/ライブコマース」の活用についてご紹介いただきました。
『ライブストリーミング/ライブコマース』とは?
まずはじめに、『ライブストリーミング/ライブコマース』という用語の意味を押さえおきましょう。
・ライブストリーミング
インターネット上で音声や動画をリアルタイムでストリーミング配信することです。我々の身近なサービスとしては「Facebook LIVE」や「YouTube Live」、「Instagram LIVE」や「TikTok LIVE」などがあります。
※「ストリーミング」とは再生方式のことで、「ライブ配信」といった場合は放送内容を指します。当レポートではサービス名以外は「ライブ配信」で統一しています。
・ライブコマース
ライブ配信とEコマースを融合させたのがライブコマースです。簡単に言えば画面越しの実演販売で、ECサイトと連携させ、商品紹介〜販売までシームレスに行うことができます。
視聴者はチャットを活用し、リアルタイムで配信者に質問。商品に対する疑問などはその場で解消できるので、満足度の高い購入体験ができるというわけです。
近年では、Eコマースビジネスの中でもライブ配信とライブコマースが非常に盛り上がりを見せていると滝澤さんはいいます。その背景には何があるのか、まずは解説いただきました。
コロナ禍がもたらしたEコマースの発展とライブコマースの浸透
ここで紹介するのは、Firework本社のある北米を例にしたEコマース市場の変遷です。Eコマースの発展が目覚ましい中国と比べ、北米はどんな状況だったのでしょうか。
まず中国では、人件費や配送費が比較的安いため、ネットで販売・自宅に配送というビジネスモデルがすぐに確立。タオバオやアリババといった大型ECプラットフォームが台頭し、Eコマースの普及から浸透までとても早かったといいます。
一方北米はというと、人件費・配送費が高いことから、各家庭に商品を配送するビジネスモデルでは利益が生まれにくく、Eコマース文化は低成長。お客さんには店舗に足を運んでもらい、商品は直接持ち帰ってもらうという、これまで通りのビジネスモデルが主流でした。
新型コロナウイルスで変わらざるを得ない状況に
ところが、2019年の暮れに世界的に流行しはじめた新型コロナウイルスによって状況は一変。製品を製造しているアジア・中国での製造の遅れや輸送の遅延、輸送機関の人材不足など、サプライチェーンが破綻し、そもそも商品自体が店に無いという状況になりました。
また、環境の変化による移住や転職も多く起きたことで人材不足が発生。さらに、人々は感染を避けるため、そもそも店舗に足を運ばなくなり、店舗自体が成り行かずクローズすることも。こうした悪い連鎖により、北米ではなかば強制的にEコマースに目を向ける形になったといいます。
自社ECサイトへの注力
北米で高いシェア率を誇るECプラットフォームはAmazonやWalmartがあります。これらを活用すれば企業のEコマース参入は容易です。しかし、そうしたプラットフォームを利用すると、売上の何%かをプラットフォーマーに支払うことになり利益率は低くなってしまいます。すでにコロナ禍で利益率は下がっていますから、このタイミングで大手ECプラットフォームを利用する企業はほとんどいませんでした。
ここで多くの企業が選んだ道は、他社サービスに依存しない自社ECサイトへの注力です。さらに、世の中の“脱サードパーティCookie”の流れもこれを後押し。「自社サイトで直接顧客の1st Party Dataを取得し、今後のマーケティングに活用しよう」と、未来に備えて多くのブランドが変革への舵を切ったのです。
販売チャネルの強化・ライブコマースの活用
自社ECサイトで販売をするにしても、顧客の訪れをただ待っていたのでは売上は立ちません。そこで新たな販売チャネルとして導入されたのがライブコマースでした。
これまで店頭で行っていた販売スタッフによる1対1の接客。これがWebのライブ配信を活用することで、1対n(多数)になるわけです。
限られたリソースで最大限の結果を実現するライブコマース。多くの企業でこの手法は採用され、Eコマースの強力な販売チャネルとして利用されはじめます。
※滝澤さんは、北米のこの流れは日本でも同様であると補足します。
現状では各SNSのライブ配信機能を活用しているところも多いですが、Fireworkのサービスを知って導入する企業も着々と増えてきていると滝澤さん。
では、各SNSを活用したライブ配信と、Fireworkを活用したライブ配信とでは一体何が違うのでしょうか。