動画コンテンツではNetflixやHulu、音楽コンテンツにおいてはSpotifyなどがサブスクリプションサービス(利用期間に対して対価を支払う方式で、基本的に定額制)でブレイクしていますが、テキスト主体のコンテンツを有料配信するモデルでは、いまだに大きな成功を収めているところがない、でも可能性がないこともないのではないか、ということを少し前に書きました。

日経電子版をサブスクリプションサービスのロールモデルとして考えられるか?

「日本経済新聞 電子版」の有料会員数が60万人に達したそうです。さらに無料会員を含む全登録会員数も400万人を突破したということですが、これは相当にすごいことです。
少なくともビジネスパーソンなら誰もが知っている”NIKKEI”というブランドを利して、一部コンテンツを無料で配信し、有料課金の登録に誘導するビジネスモデルは、それなりに大きな成功を収めていると言えそうです。

ただし、紙の新聞の発行部数は継続的に落ちてきており、”本業”の衰えをカバーできる規模に達するのが早いか、本業の衰えが取り返しつかなくなるのが早いかはまだ予断を許しません・・・。

また、月額にして税込4,200円(日経電子版のみ購読の場合)という高額で有料会員60万人以上を獲得できるのは、NIKKEIブランドあってこそ、そして経済ニュースという比較的換金しやすい(≒その情報を取得したことに金銭的価値を想定しやすい)メディアであればこそ、という考え方をする向きも多そうです。有り体に言えば、日経新聞だからできた成果とも言えるかもしれません。

だから、日経電子版の”成功”をみて、「俺も俺も」と有料課金化に乗り出すのが是か非か?と問われれば、慎重に・・・と釘を刺したくなる方は多いことでしょう。

サービス名月額(税込)
日本経済新聞(宅配) 全日版地域4,000円
日経電子版4,200円
日経Wプラン(宅配 + 電子版) 朝・夕刊セット版地域5,900円 (宅配4,900円 + 電子版1,000円)
全日版地域5,000円 (宅配4,000円 + 電子版1,000円)
https://www.nikkei.com/help/subscribe/price/

コンテンツの有料化、もしくはサービスの課金会員化を検討するパブリッシャー?

当社では、デジタルメディア(オウンドメディア)をプロモーションやブランディングのツールとして利用するだけではなく、それ自体でマネタイズを考える企業、すなわちパブリッシャーにプラットフォーム(dino)を提供している事例が多いのですが、それらの運営メディアのほとんどはエンターテインメント系コンテンツを配信しています。
日経電子版のような経済ニュースや、政治や教育に関わるようなものではなく、時事問題を論じるようなものでもありません。趣味や娯楽に相当するコンテンツが多いのです。となると、上の事例を当てはめて、成功確率を図る、というのは、やはりかなり無謀であると言わざるを得ません。

しかし、最近はパブリッシャーのみなさまの中からは「できるかどうかではなく、やるしかない」 とか「背水の陣で考える」 といった悲壮なまでの決意が聞こえてくるようにもなりました。
日経新聞でさえも2018年上半期の販売部数は前年度同期比で数パーセント減(参照:日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」)の状態ですから、メディアビジネスのデジタルシフトを不退転の決意で進めようと思われるのも不思議はないかもしれません。

フェイクニュースを忌避する消費者がサブスクリプションモデルを受け入れる?

サブスクリプションモデルによるメディア運営。つまり定額課金を条件に会員を募り、対価をいただいて特別なコンテンツやイベントなどの付帯サービスを提供する。

(基本的に有料契約をしないとテレビ番組を観ることができない)米国でさえ、オンラインメディアによるサブスクリプションは難しいと言われてきましたから、テレビは無料、ネットニュースも無料という認識が一般的な日本ではなおさら、サブスクリプション型のメディアの成立は難しいと思われるのも当然です。

しかし、昨今のフェイクニュース問題によって、信頼すべきコンテンツには多少のお金を払っても良い(逆に言うと出どころのはっきりしない記事を排除するためにコストをかけてもよい)と考える読者が増えてきているのも確かです。
これまでは”コンテンツは無料、集めたトラフィックを広告で換金する”というモデルが常識であったわけで、この常識の下ではとにかくコンテンツを大量に配信してPVを稼ぐという前提が生まれます。するとそれがフェイクニュースを生んだり、発生したフェイクニュースの真贋を見極めることを難しくしてしまう温床となってしまった。

そこでパブリッシャー側にもオーディエンス側にも改めて”ありかも”と考えさせたのが「サブスクリプションモデル」というわけです。

本来新聞でも雑誌でも有料で売っているわけで、そもそものビジネスモデルは販売+広告でした。サブスクリプションモデルであればコンテンツの販売のデジタル化になりますし、課金せずに会員登録だけを目指す場合であっても、とりあえずオーディエンスの1st Partyデータを取得できるので、何らかの副次ビジネスにたどり着けるかもしれない。

また、都度課金ではなく、定額コストを払えば全てのサービスを享受できてコンテンツを受けとれるというシンプルさは、先述のようにNetflixやSpotifyなどが消費者に受け入れられたことで、有用なビジネスモデルとして認知されはじめています。

Time to move on.

とはいえ。
風向きは良くなりつつあることは確かですが、日本のパブリッシャー全てがサブスクリプションモデルで起死回生をはかれるかどうかは、まだまだ全然わからない。
別の言い方をすれば、成功モデルを作るため、何をもって有料課金や会員登録をオーディエンスに受け入れていただけるかを慎重に考え、緻密にサービス設計をしなければなりません。

そのうえで、一度やると決めたなら、やるべきコトを決めたなら、あとは大胆に遂行する。
いまや多くのパブリッシャーの方達がそうした覚悟と大胆さを持ち始めているので、あとは我々としては、慎重かつ緻密なテクニカルサポートおよび戦略立案支援をしなければならない、そういう時期になりつつある。Time to move on、であると感じています。

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