元日の帰省帰りに、高速道路を疾走するトヨタ2000GTに出会しました。約50年も前の車とは思えない色気と気品に胸アツでした。今年もいいことありそうです。
さて、この名車と同様に、時代が変わっても変わらない真実がひとつあります。それはコンテンツは王様(Content is King)ということです。

1996年に「コンテンツは王様」と喝破したビル・ゲイツ

GAFAとともに世界のITビジネス市場を席巻する大企業マイクロソフト(マイクロソフトをGAFAに加えるとき、GAFAMと書く向きもあるようですが、ダース・ベイダーや帝国軍≒悪の帝国に準えられたことさえあるマイクロソフトを筆頭に書くべきと考える僕は、MAGFA と書く方を好みます)。そのマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは、同社がインターネットビジネスへの参入の遅れやモバイルOSへの取り組み方が甘かったことによって、得べかりし大きな市場シェアと利得を手にし損なったことを悔いる発言をしています。その原因となったのは自分の判断ミスであるとも話しています。

しかし、いわば神でもミスを犯す、というものであり、その“判断ミス”がビル・ゲイツの偉大さを損ねるものではありません。アップルの故スティーブ・ジョブズの派手な業績に比べると一般認知度においては差をつけられているかもしれないビル・ゲイツですが、彼こそはIT業界におけるゼウス、神の中の神です。彼が犯した“判断ミス”は、鋼鉄で作られた彼の金字塔(業績)に加えられた若干の擦り傷にすぎないのです。
(実際、現在のマイクロソフトはそうした失点を取り返して、1兆ドルを超える時価総額を誇っています)

そして、その彼が伝えたこの言葉、コンテンツは王様 という表現は、テレビや新聞などの媒体を利用した広告やマーケティング手法が、インターネットを媒体とする手法へと変遷している途中である現代においても、まさしく至言として注目を浴びているのです。

良いコンテンツを作ること。そしてそのコンテンツを上手に流通させること。それによって得た成果をマネタイズにつなげること。そう、コンテンツマーケティングそのものです。
コンテンツマーケティングこそは、あらゆるマーケティングの根幹であり、基本中の基本。コンテンツは王様というビル・ゲイツの言葉を素直に受けいれ、実行することなのです。

Content is where I expect much of the real money will be made on the Internet, just as it was in broadcasting.

インターネット上で生み出される利益のほとんどは、コンテンツによって生成される。放送業界において見られた現象と同じようにだ。

米中の強大化になす術なしの日本を憂いても仕方なし?

ところで、米国においては、テレビや映画などの映像コンテンツの市場ではNetflixという創造的破壊者(ブロックバスター)が存在し、彼らのおかげでディズニーやアップルなどの既存権益取得者の立ち位置を大きく脅かしています。
新聞や雑誌などの印刷メディアが牛耳ってきたテキストコンテンツの市場では、BuzzFeedやVox Mediaなどの創造的破壊者(ブロックバスター)が市場を変革させ、音楽コンテンツの市場でもSpotifyなどの創造的破壊者(ブロックバスター)が、CD業界を破壊したダウンロードビジネスをさらにストリーミング主体へと変容させました。

翻って日本国内の市場を見ると、確かに似たような変化は起きているものの、そのスピードは緩やか。さらにいえば、創造的破壊者(ブロックバスター)はすべて国産企業ではなく、海外から来た黒船ばかりの状態です。
ではアジア圏でのプレゼンスはどうかというと、アリババ、テンセント、(TikTokを擁する)ByteDanceなど、日本の名だたるIT企業が束になっても叶わない強大な勢力が次から次へと生まれ出る中国の台頭になすすべないのが現状・・・。インターネットビジネスにおいては米国と中国の二強の影響力が強まるばかりで、日本の存在感は低下していくばかりです。米中日の三国鼎立を実現する「天下三分の計」を見出すことはもはや叶わぬ夢でしょうか?

プラットフォーム+パブリッシャー=プラティシャー(Platisher)というコンセプトは目立たず静かに潜航中?

i映像、音楽、活字(テキスト)などの主要コンテンツを流通させてきたメディアの多くが インターネットを活用した新興企業にとってかわられている現状において、まず注目すべきは、コンテンツそのものを生成させる手法が大きくインターネット化されたわけではなく、主にコンテンツを流通させるプラットフォームのネット化が起きた、ということです。

もう少しブレイクダウンして分析してみると、

  • 映像コンテンツ
    映画のような長尺で構造的かつ創造的な(長期的な消費傾向のある)コンテンツの生成については一層プロ化し、高度化した。逆にいうと、この変化は既存路線の予定調和であるといえる。
    反面、短尺かつ即興的なコンテンツはYouTuber、TikTokなどの台頭でも分かるように瞬間的に消費される分、多くのハイアマチュアの台頭が目立ち、良い意味で大衆化した。
  • 音楽コンテンツ
    映像とは違って、音楽もしくは楽曲という形式でのコンテンツではプロ化とハイアマチュア化の二極化は起きず、プロによるハイコストで生成に時間がかかるスキームがさらに高度化した。
    ハイアマチュアが入り込める余地としては、ASMR(=Autonomous Sensory Meridian Response。聴覚や視覚によって引き起こされる直接的な快感)などの分野の一般認知向上がある。
  • テキストコンテンツ
    検索エンジンとの相性が最も良いうえにSNSなどで拡散されやすく、さらに一見特殊な訓練やスキルが必要なさげに見えるため(ワープロツールやブログなどの普及にもよって)、多くのアマチュアライターの参入が為された。その結果、書き手の信頼性が担保されないコンテンツでも扇情的であれば拡散されてしまいフェイクニュースのはん濫や質の悪いメディアの乱造へと繋がり、市場の弱体化を招いた。その反省もあり、現在ではコンテンツの内容の信頼性や質を保証可能な既存メディアや信頼に足る大企業によるメディアの編集能力が価値化された。
    ただ、映像コンテンツや音楽コンテンツに比べると、文章を書き(画像や映像などのリッチコンテンツを補助的に加えて)コンテンツを作成・配信するメソッドのITツール化は最も進んでいるといえる。

こうした事情の中で簡単にまとめると、

  1. 映像コンテンツ、音楽コンテンツの領域では、強大な創造的破壊者(ブロックバスター)言い換えるとプラットフォームが存在しているが、活字コンテンツにおいてはまだそこまでの覇権は存在していない
  2. 映像コンテンツではエンタメ領域に、音楽コンテンツではASMR領域に、テキストコンテンツでは全般的に、ハイアマチュアのクリエイター参入可能性の余地が見られる
  3. コンテンツの生成と配信技術においては、相対的にテキストコンテンツ領域でのツールがもっとも発達している

といったことが言えると思います。

こう考えると、ありとあらゆる領域にまたがるコンテンツマーケティングですが、映像と音楽の領域に基盤を持つことは、もはや相当難しいということがわかってきます。ところが映像、音楽、活字、の 3大領域の中で、テキストコンテンツにおいては、比較的参入障壁が低いことが見てとれます。

コンテンツを普及させる、という意味ではNetflixがいるわけでもないしSpotifyがいるわけでもない。どう考えても勝てそうにないプラットフォームはまだ存在しないのです(もちろん、旧来メディアのネット参入はあるわけですが)。
ではコンテンツを作る、という意味ではどうでしょう。

映像は、スマホカメラやGoProなどのアクションカメラの普及で、撮影自体はかなりハードルは下がりましたし、そういう動画についてはTikTokやインスタグラムなどのSNSへの配信ならばそれなりに楽になりました。YouTubeならば相当に長尺であっても無料もしくは驚く程のローコストで配信が可能です。
とはいえ、前述したように、高度なクリエイションを行うには相当の技術が必要であり、編集についてはやはり属人的なスキルに負うところが大きい。音楽コンテンツもまた同様です。

その点、テキストコンテンツは制作についてはほぼIT化、ネット化もしくはクラウド化は完了していると言っていいでしょう。制作したコンテンツを配信するメソッドも、SNSのみならずさまざまな形で完備されていると思います。

映像・音楽・テキストすべてに関わってくることですが、生成されたコンテンツの質的保証や向上、信頼性の担保を目的に行われる、いわゆる編集作業についても同様に整備済みと言っていいでしょう。

テキストコンテンツにおいてはネット生成・配信との相性が良すぎるがゆえにあまりに多くのプレイヤーが存在してしまうこと、参入障壁が低すぎて、有象無象の作り手と流通の担い手による低品質なコンテンツの乱造を防げなかったという問題があったゆえに、現時点では創造的破壊者(ブロックバスター)の不在を招いていると言えると思います。

逆にいえば、まだテキストコンテンツの領域における空白状態は続いており、覇権争いはこれから激化する、ということなのです。

コンテンツの作り手、と配信する流通の担い手が一致し、統合されコントロールされたブランド(メディア)で運営されている状態をパブリッシャーと呼びます。さらにネット時代になり、パブリッシャーがそのメディアを運営するためのインターネットテクノロジーを提供する企業群をプラットフォームと呼びます。現代ではこの双方の特徴を併せ持つ業態が生まれ、数年前にはこれらをプラティシャー(パブリッシャーでありプラットフォームである業態)と呼ぶようになりましたが、この用語はそれほど普及しませんでした。自社メディアを運営しながら、そのシステムを他社に売る、という業態は、例えばChorus(コーラス)というクラウドCMSを持つVOX Mediaや、Arc Publishingというパブリッシングプラットフォームを持つワシントン・ポストなど、それほど珍しい存在でもないのですが、あまり目立つと(つまり、プラットフォームを売るときは、自社メディアの存在をあまり強く打ち出して 売り込み先のメディア企業に同業者と思われるのは得策でないので)セールスの邪魔になるから、“プラティシャー”というレッテルを貼られることはいいことではなかったためでしょう。

逆にいうと、デジタル化、ネットビジネス化がテキストコンテンツ以上に進んだ映像コンテンツの領域では、Netflixにしてもディズニーにしても自社制作のコンテンツの品揃えに躍起になり、結果としてある意味プラティシャー化している、といえます。テキストコンテンツの領域では妙に時間がかかってもたもたしている情況ですが、先行する映像コンテンツの領域では既に一巡していると言えるかもしれません。

海外においては、パブリッシャーとプラットフォームが真逆の方向からプラティシャー化を進めている、このトレンドが映像コンテンツとテキストコンテンツの領域で同時発生している。そのうち音楽の領域でも、例えばSpotifyが自社でアーティストを抱えてレーベル化していくような形が生まれるかもしれません(僕が知らないだけでもう始まっている??)。

つまり質の良いコンテンツを生み出すクリエイティブと、効率よくコンテンツ生成を助け、配信も行い、さらにはマネタイズもするテクノロジーの合算を行う企業が増えてくるということが、容易に想定されるのです。

2020年もテキスト版Netflixの創造に寄与するテクノロジー企業でありたい

当社、リボルバーは、dinoというパブリッシングプラットフォームを開発し、コンテンツマーケティングを志向する企業に提供するテクノロジー企業です。

当社はワシントン・ポストやVoxのようにメディア企業ではないし、メディア企業が自社ユースのために磨き上げたテクノロジーを他社に販売することを思いついた企業ではありません。最初から、(潜在顧客である)企業に提供することを前提に作り上げたテクノロジーを販売する企業です。

だから、当社は自社がプラティシャーであるとは思っていないのですが、少し前ならオートバイを中心としたエンターテインメントメディア Lawrence、現在では高い向上心を持つビジネスパーソン向けのプレミアムコンテンツメディア dino.network を運営してきました。自社でもコンテンツの作り方や効率良いトラフィックの育て方を学習するためのラボ的な存在としてですが、それでもプラティシャー的なスタンスを持っているとは言えるかもしれません。

(実際、dinoの管理者向けサービスはplatisherというドメイン名で提供されています・・・)

それでも当社はパブリッシャーを志向する企業(非デジタルのメディアを運営していた、雑誌、テレビ、ラジオ、新聞などの保守的メディア企業もお客様ですし、非デジタルメディアを活用して広告やマーケティングを行なってきたものの、効果が薄くなってきたので自社デジタルメディア=オウンドメディアを興してコンテンツマーケティングを行うことを思いついたさまざまな企業の皆様もお客様)の成功をアシストするために存在している、という自覚を持っています。

いつかデジタルテキストメディア領域におけるNetflixの誕生があるとして、その傍に佇む企業は我々なのだと思います。また、そのテキスト版Netflixが日本オリジンの企業であれば、日本生まれの企業であるリボルバーとしても望外の幸せであることでしょう。

正月早々こんなニュースも(゚ω゚)

画像: 2020年のコンテンツマーケティング・・・テキストコンテンツにおける創造的破壊者(ブロックバスター)は生まれるか?

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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