この度、日立製作所のビジネスパーソン向けメディア「Executive Foresight Online」にインタビュー記事を掲載いただけました。
リボルバーの創業以来の身上・信条である、スピードへのこだわりを話させていただいたつもりです。
もともと我々は、インターネット上に置いていなかった、紙媒体などにのみ存在する良質なコンテンツを、ネット化する必要性を訴えてきました。オフラインからオンライン、アナログからデジタルにコンテンツを迅速に置き換えること、いわば『ファストWeb』の必要性です。そのために必要なテクノロジーのうち、とりわけマーケティングに必要なものをマーテクと呼び、ファストWebの考え方に即してマーテクを開発し、提供することをファストマーテク、と呼ぶのです。
昭和が終わった、平成が始まった、と思っていたら、もう令和も3年ですからね。時代が変われば、その時折の大切なコトも文化も変わります。ちゃんとついていきましょう、古い感覚にこだわったり囚われていてはダメです、あくまて 温故知新、歴史から学んで新しい世界を知るほかないのです。
ファストWebが当たり前になる世界
さて。
このインタビューでは、もちろんインタビューする前に下調べをしてくださったうえで取材に臨んでいただけるわけですが、今回は 僕が以前ポストした、ファストWebというコンセプトにフックして話を向けていただきました。
ファストWebとは、簡単に言えば、この世の中のどんな事象もデジタル化されてオンラインに置かれるようになるのだけれど、正確さを保った上でその速度を向上させていかなければならない、つまり、速く(Fast)Webにアップロードするテクノロジーが重要というのが、僕の信念です。
(人間がその知性や文化を他者に伝達するうえで最上の手段である)テキストについては、Blogをはじめ、さまざまな良好な手段が生まれてきました。当社が開発・提供しているdinoも、Blogの長所を発展させたサービスであり、テキストと画像を中心に コンテンツをWeb化する、ファストWebテクノロジーの一つです。
多くのBlog用CMSやdinoは、そうしたコンテンツに加えて、それらをネット上で表現する(見た目をデザインする)ための自由をユーザーに委ねるものですが、表現方法を特定の業者に任せてしまうことでより簡便にコンテンツをアップしシェアするサービスも、数多く生まれました。いわゆるSNS(ソーシャルネットワークサービス)がそれで、テキストの共有から発生していまや総合化したFacebookやTwitterをはじめ、写真にフォーカスしたインスタ(Instagram)、動画にフォーカスしたYouTube、エンターテイメント性の高い短尺動画にフォーカスしたTikTokなどがその代表です。メッセージの交換に特化したLINEなどのメッセージングサービスもその一つであると言えます。
さらには、会議をオンライン化したZoomや、雑談のオンライン化を目指す音声SNS clubhouse など、コロナ禍に合わせて巣篭もり化しつつある一般市民の生活様式に合わせて、ありとあらゆるものがオンラインに対応した動きを見せています。
いまや、とりたてて騒がなくても、ファストWebの動きは全世界的に当たり前になってきている、と言えますね。
ファストWebを推し進めた結果、残るモノの価値
人間のリアルな交流や社会生活が、感染リスクを孕むという理由から回避するべしという空気が蔓延する昨今、できるかぎり全ての事象をデジタル化して、ファストWebを進めよう!という考え方は歓迎されるものかもです。
実際当社(リボルバー)は、テレワーク上等(在宅勤務ではなく、どこにいても何時であっても 必要に応じて即スウィッチをオンにできればいい)と考えるし、会社はその体制をなるべく円滑に維持できるような支援をするべきと考えています。オフィスが要らないとは言っていません、どこで働いてもいいけど、だったらオフィスのほうがいろいろ必要な設備が揃っているから便利、と思ってもらえるようにするべきだし、社員が触れ合うことで偶然生まれる“セレンディピティ”も重要だから、そのためのリアルな場所も必要だろうと思うからです。
要するに、なるべく多くの生活習慣や文化はデジタル化されてインターネットフレンドリーになるべきと思うけれど、アナログでリアルな体験でないと真価(もしくは進化)が生まれないこともあるということです。
できることはすべてネット(Web)に置き換えて、そのうえでリアルに残しておいた方がイイと思える 本質的なことを大切にする。そういう意識が必要なんじゃないかなと考えます。
紙の匂いが懐かしいから新聞紙が恋しいとか、そういうノスタルジーの話ではありません。多少の不自由は 新たに勝ち得るメリットとのトレードオフと考えるべきです。が、明らかにアナログであるほうがいいと思えることは、それはそれで残しておくべき。
人間が生身の肉体を持ち、24時間周期で生活を続けている限りは、そういうものもある、と思うのです。
逆説的ですが、むしろ そんな ホントに大事なモノを見つけるために、大概のものは多少の不便があっても一気にデジタル化を進めちゃいましょう。ファストWeb時代に乗っかってこそ、アナログのままでとっておくべき本物の価値ある何かが見つかるというものですよ。ほんとに。
小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。
ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。