ビジネスパーソンならばすべからく効率的な作業遂行を心がけねばなりません。忙しくて困るとか、人員を追加してくれなどの泣き言を言う前に、自らがちゃんと効率的に仕事をしているかどうかを省みるべきです。
画像: 株式会社リボルバーの仕事術(1)
メールのTOとCC/BCCの使い方

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

Eメールという日々のコミュニケーションツール

Eメールは、法人組織の常用ツールになっています。タイトルを書かない、余計なグリーティングなしで本題から始められる手軽さなどに加え、個人コミュニケーションの必携ツールとなったLINEやSMS(ショートメッセージサービス)などの普及によって メールより速くてカジュアルなツールとしてSlackやChatWorkなどの、いわゆるメッセージングサービスのビジネス版も生まれており、それらを採用している企業も多いと思いますが、社内コミュニケーションだけならともかく、社外とのやりとりにはまだメールが中心サービスであると思われます。

ビジネス用メッセージングツールは、プロジェクトベースで、異なる企業間でも使えるよう設計されてはいますが、討議の場をアプリ上で設定しなければならないし、そして必要メンバーをそこに招待しなければならない、さらに増えてきた“場”を整理し管理していく面倒くささを伴うので、結局は利用しきれない残念な結果になってしまい、メールでのやり取りに回帰してしまうことが少なくないようです。

運用方法でEメールを利活用

前項でご説明した状況に基づき、リボルバーでは社内外でのコミュニケーションは基本メールで行なっています。電話嫌いの社長(あ、僕のことですねw)のおかげもあり、当社では電話はほぼ使わないし、場所を限定してしまうレガシーすぎるツールであるFAXも使用しません(社内にそもそもない)。

Eメールも登場以来数十年が経過しているうえ、日本においても企業ツールとして普及してから2、30年経っています。そのためツールが内包するデメリットも指摘されるようになってきておりその古さは拭いきれなくなってきています。(当社ではメール自体はGmailベースであり Googleの皆さんがメールを現役ツールから引退しなくても済むように日々一生懸命改善を続けてくださっていることに感謝しています)
しかし、古いということは同時にこなれてきているということであるし、そもそもどんなツールでも時代の変化にいつかは置いていかれるものです。露呈してくる欠点は、テクノロジーによる解決もさることながら、使う人間が工夫して活用していくこと、つまりマニュアル(使い方または運用)でカバーしていけばいいと思うのです(もちろん“電話”を使わないように、カバーしきれない欠点を持つツールと存在するのですが)。

当社では当初Slackを試してみましたが(社内メンバーの中にはこのツールを好んで使い続ける向きもあるようだし、それを止めることはしませんが)僕自身は このツールにメリットをあまり感じられず、かつそのデメリットを強く感じたため、2022年9月時点では公用ツールとしての利用は止めています。

メールの最大の欠点は、“みんなが使いすぎて毎日大量になりすぎて重要なものとそうでもないものが混在してしまう、大切な情報が埋もれてしまう”というものでしょう。
しかし、この問題は特定のツールを偏重して使えば結局どのツールを選んでも起きてしまうものです。この問題を解決するために、さまざまなアプリ・ソフトウェアが開発されているわけですが(受信音を変えるとか特定フォルダーへの自動振り分けなどの機能がそれでしょう)、今のところ これは!という解決策は生まれていません。

また、タイトルと本文を書く、という構造が、現在のコミュニケーションスタイルに則していないという意見もあるようです(一般に普及したメッセンジャーツールは、たいていタイトルを書かず、時候の挨拶なども書かないカジュアルなスタイルです。Eメールは“手紙”を電子的に置き換えたものであり、メッセンジャーツールは“会話”をメタファーにしているものですから、テキストの交換速度に違いがあるのも当然なのですが)。

ですが、その昔、メールの仕事術のようなルール、マナーなどの解説本が数多く出版されたように、毎日大量に送られてくるメールの中から優先度の高いものを先に読んで効率的に仕事しようと思う者にとっては、誰から来たメールなのか、何の件なのか、急ぎの返信を要するものなのかなどを適宜判断していかねばなりません。

このための方法論が、解説本の形になったわけだし、そのためのより効率的な手段としてSlackなどのツールが生み出されたわけです。

(Slackなどでは、プロジェクト毎に会話する場とメンバーを分ける→メールであればフォルダーへの分別がこれに近いでしょうが、読んでから分ける後者の方法では、大量の連絡を効率的に処理するためのメソッドにはなっていませんね。また、メールにおけるタイトルや送信者によって重要度を考慮するやり方に近いのは、メッセンジャーツールではタグによる分類・検索になるかもしれません)

僕が思うに、重要度や緊急性(重要でも急がないものはあり、重要でなくても緊急なものもあります!)を考慮した上で、仕事の優先順位をつけるには(効率的な仕事とは、優先順位=プライオリティを上手につけること、そしてその順番で作業を時間内にこなしていくこと、です。このどちらが出来なくても優秀とは言えません)、結局はツールへの依存ではなく、その人自身の仕事のやり方やタスクのこなし方にかかっていると言えます。

江戸時代と現代では個人が受け取る情報量に雲泥の差があると言います。

いかにスマートフォンやPCの力を借りても、1日の長さが常に24時間である限り、自ずから限界はある。ならばそれに合わせて自分自身をブラッシュアップしなければならないと思うのです。
これはアスリートと同じで、道具が進化したとしても、結局は選手自身の(トレーニング結果による)技量がものを言うのです。

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